豊見城市の沖縄空手会館の資料室内「沖縄の空手の発展に貢献した空手家たち」コーナーに防具付き組手などの導入を推進した中村茂(1894~1970)の掲示が加わっている。
中村は、空手には本来、「流派は存在しない」との理念を持ち、「沖縄拳法」を掲げて実戦的な空手を追求した。防具付き組手やノックダウン制の試合の導入を推進したことでも知られる。
空手会館は20世紀までに活躍した空手家(物故者)、空手界の人材育成、普及発展に指導的役割を果たした人物らについて顔写真と経歴を掲示して紹介している。
2017年の開館以来、同コーナーへの人物の追加掲示は県指定無形文化財保持者の追加認定を除いて初めて。県空手振興課によると、開館前の時点で掲示されるべき人物と認識されていたが、関係資料などが乏しかったという。
弟子らから、空手会館への掲示を求める声が上がり、中村についての基礎情報や功績に関する資料などを収集。沖縄拳法関係の各会派の意向も確認した上で、22年7月に監修委員会で経歴などの説明文が承認された。
米国などにも支部を持つ沖縄拳法空手道協会拳友会の喜屋武徹館長(64)は来沖した弟子らに、空手会館に掲示がないことを残念がられていたという。ことし6月、4年ぶりにジョージア州やバージニア州などにセミナーに赴いた。掲示の開始を説明すると、非常に喜ばれたという。
「開祖の写真と経歴説明が空手会館にしっかりと掲示され、これ以上の喜びはない。米国の弟子らも来年、早速見に来るとのことで、直接案内する予定だ」と楽しみにしている。