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戦時下の「軍神報道」を検証 戦意高揚を図った負の歴史学ぶ 藤原健さんが講座


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メディアが戦意高揚のために報道した過程を説明する藤原健さん(右)=27日、那覇市の不屈館

 琉球新報客員編集委員の藤原健さんが、過去の戦争で軍やメディアが戦意高揚を図った負の歴史を検証する講座が27日、那覇市の不屈館で行われた。

 講座では、1943年にガダルカナル島で戦死した大舛松市(おおますまついち)中尉を軍と行政が「軍神」に祭り上げ、メディアもキャンペーン報道で国民に「死ねる教育」を推進した歴史などを紹介した。その影響が、沖縄戦当時、軍国教育を受けた県立第一中学校の生徒が書いた遺書や、講座に出席した垣花豊順さん(90)が今でも軍歌を覚えていることにも表れているとして、「戦争が残した傷痕であり、その最たる典型例が軍神報道だ。これを繰り返してはならない」と述べた。

 藤原さんは今月9日に自民党の麻生太郎副総裁が、台湾有事を念頭に国民に「戦う覚悟」を求めた発言にも触れた。「次に来るのは国のために死ぬ覚悟。さらに殺す覚悟を求めるのは明らか」と述べ、戦争の負の記憶を「過去のものとしてはいけない」と語った。

(嘉陽拓也)