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ぬいぐるみやお菓子並べ ハンセン病入所者や堕胎された子の冥福を祈る 宮古南静園で慰霊祭


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国立療養所「宮古南静園」の慰霊祭で、亡くなった入所者や元入所者、強勢堕胎された子どもたちに黙とうをささげる参列者=8月29日、宮古島市平良島尻

 【宮古島】宮古島市平良島尻の国立療養所「宮古南静園」は8月29日、園内にある納骨堂で2023年度慰霊祭を執り行った。入所者や職員が黙とうをささげ、国の誤った強制隔離政策で入所させられ、亡くなった575人の入所者や元入所者と強制堕胎された子どもたちの冥福を祈り、差別や偏見のない社会を祈った。

 慰霊祭は毎年、旧盆の期間に合わせて開かれている。参列者は黙とうをささげた後、献花台に花を手向けた。納骨堂での献花を終えた参列者は、隣にある供養塔でも手を合わせ、強制的に堕胎させられ、命を落とした子どもたちに祈りをささげた。供養塔には熊のぬいぐるみやお菓子が供えられ、その周辺にはいくつもの風車が飾られていた。

 追悼の言葉を述べた松原洋孝園長は「最大で350人を超えた入所者も現在では37人となった。これからもより良い療養環境を目指してまい進していくことを誓い、ここに眠る御霊(みたま)が安らかなることをお祈り申し上げる」と話した。

 ハンセン病と人権市民ネットワーク宮古の知念正勝共同代表(91)は「ハンセン病が治る病気だと判明した後も国は強制隔離を続けてきており、これは人災だ。この歴史は(今後の)人権や命を守ることに生かされるべきだ」と同じ過ちを二度と繰り返さないことの重要性を強調した。
 (友寄開)


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