シンガポールを拠点にアジア圏12路線を運航するジェットスター・アジア航空が、11月30日から約3年8カ月ぶりに那覇―シンガポール路線の直行便を運航する。バラタン・パスパティCEOに沖縄とのつながりや今後の展望などを聞いた。
―再就航の抱負は。
「県のシンガポール事務所などとのつながりから、長らく沖縄との直行便を飛ばすことが目標だった。沖縄と東南アジアとの唯一の懸け橋になりたいと考えている。直行便はビジネスのやりとりや文化の交流もシームレスになる」
「沖縄は魅力的な食材や景色がある。今後はBtoB(法人間取引)がより活発になり、ビジネスツーリズムへの期待が高まるだろう。コロナ前は沖縄からの来訪者があまりいなかったので、シンガポール市場のPRもこれからしていく」
―沖縄の注目度は。
「シンガポールはハブを中心に栄えてきたが、沖縄にもその期待がある。コロナ前は欧州やマレーシア、インドネシアからも沖縄に来る人が多かった。今はFIBAバスケットボールワールドカップの影響で豪州からも注目されている」
「ジェットスターグループはどの便でもシンガポール経由で沖縄に来られる。沖縄を拠点に日本国内への乗り継ぎも考えられる。那覇空港の国際線と国内線の導線がシンプルで分かりやすいのもとても良い」
―なぜ日本の中でも沖縄を選んだのか。
「沖縄への直行便がなかったので、他の会社がやっていないことをしようと思った。2014年から県のシンガポール事務所との関わりを強く持っていて、コロナ下でも絶えず連絡を取り合っていたので、再就航の流れはスムーズだった」
「沖縄にはインバウンド(訪日客)も多く、質の高いホテルの数も多い。独特の文化や食材などの魅力にもあふれ、国際客を誘致する良い目的地だ。今は国内客が多いが、全国旅行支援などの需要喚起策が終了し、国内需要が低迷した場合は海外客の誘致が必要になるだろう。私自身も家族で4回沖縄に来たが、ゆっくりとした時が流れていてリラックスできる。家族連れにも人気が出るだろう」
―航空関係の人手不足状況は。
「グランドハンドリング(地上支援)や保安検査員などの人手不足は世界中で起こっている。コロナ禍で機体の点検作業などを委託していた沖縄の会社がなくなってしまったので、今後はシンガポールから整備士を連れてきて、那覇空港での機体整備を実施する。コロナ禍の落ち着きを見据えて11月を再就航とし、週5便だった便数も今回は週3便からスタートする。まずは11月の初便で、175席を満席にしたい」
(聞き手・與那覇智早)