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捨てるものがない明日へ 宇田悦子・フードリボン代表取締役社長 <仕事の余白>


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 生きているだけで奇跡。そう思えるようになったのは、大切な人(大叔父)の死がきっかけでした。生きる時間を何のために誰とどう使うのかを、大宜味村で教わりました。想いと覚悟を胸に挑戦する中でたくさんの応援にも支えられてきました。

 時に涙し落ち込み、不安や恐怖のどん底だったこともありましたが、必ず上手くいくと信じ仲間と歩んできました。ようやく最近になり、蒔(ま)いてきた種が芽を出してきたと実感し始めています。5月には那覇OPA内にコンセプトショップをオープンし、県内パイナップル生産者の協力の下、繊維抽出が始まっています。

 シークヮーサーが旬を迎える9月末からは、農家支援の収穫体験も実施予定です。社名の由来である未利用農産資源を生まれ変わらせ、生産者と消費者を繋(つな)ぐリボンとなることが、徐々に実現しつつあります。沖縄から台湾、インドネシア、タイ、フィリピンへと事業を展開し、地域資源と経済の循環を仕組み化して広げ、捨てるものがない明日を目指します。

 一枚の絵を描き変えるように、地球の七つの海が美しく、花のような笑顔が咲き誇る未来、そんな風景を心に描いています。自分の世代だけでなく、子供やその子供たちの未来のために、今をより良く変えることが自分の幸せに繋がるのだということ。

 この一番大切な、人としての在り方を教えてくれた沖縄、大宜味村への感謝をいつも心に最高の結果を追い求めて、私たちの挑戦は続きます。