沖縄とのつながりは? ブラジルで県立図書館が「ルーツ調査」、県系人ら300人が依頼


この記事を書いた人 Avatar photo 瀬底 正志郎
多くの県系人が詰めかけ、盛況だった「ルーツ調査」のブース=サンパウロ市で開かれた第19回沖縄まつりの会場(提供)

 沖縄県立図書館は8月、ブラジル・サンパウロ市とカンポグランデ市で、県系人の「ルーツ調査」を実施した。昨年の世界のウチナーンチュ大会に合わせて同図書館で行った実績があるが、現地での実施は初めて。ブラジル沖縄県人会とカンポグランデ沖縄県人会の協力で実現した。計300人を超える人が調査を依頼し、大きな関心が集まった。多くの県系人が自身のアイデンティティーを見つめ直し、移民の歴史継承へ思いを強める機会となった。

 今回のルーツ調査は、沖縄振興一括交付金の「琉球・沖縄の知と心」国際発信事業の一環。サンパウロ市で5、6日に開かれた第19回沖縄祭りの会場で327件、カンポグランデ市での11~13日そば祭りの会場で80件の依頼を受け付けた。昨年7月に公開した「沖縄県系移民渡航記録データベース」などを利用し、依頼を受けた移民1世の出身地や生年月日、渡航年、家族の情報、ブラジルの足跡をたどった。

 カンポグランデ沖縄県人会のマルセル・新垣・安里会長は「事業は計り知れない価値がある。初めて家系図のルーツに飛び込み、ブラジルへ勇気を持って飛び立った先祖について知る機会が得られた」「沖縄との深いつながりを再認識するセンチメンタルジャーニーだった。私たちの文化が生きていること、私たちの歴史を継承する重要性を確認させてくれた」とのコメントを寄せた。

 同図書館によると、今回、調査を依頼した多くの人がデータベースでルーツを見つけることができた。戦前に撮影された家族写真が見つかり、泣いて喜ぶ人もいたという。

 ブラジル沖縄県人会ルーツ調査コーディネーターのヘジナ・ハルヨ・ミアシロ・ヤマダさんは「来場者数は期待以上だった。出身地や、どの船でいつブラジルに来たのか、依頼者が見たことのない写真を探してあげた。多くの方がハッピーで満足していた」と手応えを感じていた。
 県立図書館奉仕員として調査を手助けした城間セルソ明秀さんは「ルーツ調査によって先祖の郷里を知り、(現地で)市町村や字単位で先祖の出身地を共にする方々とのつながりを深めてもらえれば」と意義を強調した。

(中村万里子)