沖縄の2港湾で特別会計が赤字 地方自治法に違反状態


この記事を書いた人 Avatar photo 新垣 毅
中城湾港=うるま市

 県土木建築部が所管する中城湾港と宜野湾港の2つの整備事業特別会計で、2022年度決算が合計で約119万円の赤字が出たにもかかわらず、出納整理期間内に23年度歳入から繰り上げ充用を行わなかったため、地方自治法違反の状態にあることが6日、分かった。
 
 県は繰り上げ充用のため、9月議会での補正予算案提出を予定するが、出納閉鎖後の繰り上げ充用も、手続き的に同法違反に当たる。県財政課によると、特別会計で出納整理期間後に赤字が発覚するのは、県として初めて。
 
 赤字は県港湾課が2特別会計の歳入を過大に見積もったことが原因。宜野湾港整備事業特別会計では21年度とすべき施設使用料を22年度歳入に計上し、中城湾港では施設使用料の一部を重複して計算していた。実際の現金がいくら収納されたかの確認も出納整理期間内(4月1日~5月31日まで)に行っておらず赤字状態が放置されていた。地方自治法(第208条第2項)では赤字を放置し続けることは違法と規定している。
 
 違法状態とならないためには、出納整理期間内に特別会計ごとに23年度歳入から繰り上げ充用を行う必要があった。県は、今月26日に開会予定の9月議会に繰り上げ充用するための補正予算案を提出する方針だが、出納整理期間閉鎖後の繰り上げ充用も地方自治法違反に当たる。

 県から説明を受けた野党県議らによると、県は「手続き的に違法だが、繰り上げ充用の効力自体は否定されるものでない。決算自体は黒字となる」などとした。
 別の野党県議は補正予算による繰り上げ充用について「違法な手続きを提案されても分かったといえるはずもない。県議会に責任を半分背負わせるみたいなものだ」と強く批判した。

 県は6日夜、同事案について発表したものの、詳細については7日以降に説明するとした。(與那原采恵)