資金肩代わり「サーチファンド」で後継者不在企業を支援 シンバHDとトライドイノベーション 沖縄で初、名古屋の企業買収


資金肩代わり「サーチファンド」で後継者不在企業を支援 シンバHDとトライドイノベーション 沖縄で初、名古屋の企業買収
この記事を書いた人 Avatar photo 與那嶺 松一郎

 シンバホールディングス(浦添市)と事業承継を支援するトライドイノベーション(那覇市)は7日、起業家ら個人が探し出した企業の買収資金を肩代わりする「サーチファンド」と呼ばれる投資ファンドを組成し、第1号案件としてLINEマーケティングを手掛けるマーケリンク(名古屋市)を買収したと発表した。シンバによるとサーチファンドの活用は県内初。年内にあと県内外3社の買収を予定している。事業承継支援を通じた後継者不在の課題解消や、県経済活性化につなげたい考え。

 サーチファンドは、起業家ら個人が事業を引き継ぎたい企業を自ら探す「サーチャー」となり、ファンドが調査費や買収費を支援する仕組み。サーチャーがその後の経営までワンストップで担う。全国的に後継者不在が課題となる中で、新しい起業の選択肢として注目されている。

 第1号案件では、サーチャーとしてトライドイノベーションの玉城偉光(たけひろ)CEOがLINEアカウントの運用支援で実績があるマーケリンクを探し出した。マーケリンクも事業の買い手を探していたこともあり、サーチファンドによる投資に至った。

 今後もサーチャーや後継者不在企業を支援し、投資先企業の価値向上につなげる。シンバの安里繁信会長兼CEOは「時価評価が上がるのを待って売って終わる単なる投資目的ではなく、会社の評価を事業承継によって上げることで双方の成長を促す」と強調した。

 帝国データバンクによると、沖縄の後継者不在率は2020年まで全国ワーストだった。玉城氏は「今も全国平均を大きく超える現状があり、サーチファンドこそ沖縄から始めていくべき事業ではないか」と述べた。
 (當山幸都)