全基地返還で経済効果3.5兆円 友知沖国大教授が試算


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 沖縄国際大学経済学部の友知政樹教授はこのほど、県内にある全ての米軍基地が返還され、跡地利用が進んだ場合に生み出される「直接経済効果」は2兆7643億円に上るとの試算をまとめた。同様に自衛隊基地が返還された場合の直接経済効果は7843億円に上るとし、全体で3兆5486億円と試算した。県民総所得は2012年度の4兆165億円と比較して、1.8倍の7兆2902億円に上ると試算した。

 これに対して米軍基地と自衛隊基地から派生する軍用地料や雇用、基地関係交付金などの収入は、12年度に2749億円。
 友知教授は「基地は県経済発展の阻害要因であり、基地がないと食べていけないというのは幻想だ」と強調した。
 県企画部がことし1月にまとめた、嘉手納より南の基地返還後の経済効果に関する試算を基に、対象施設を全ての基地に広げて積み上げた。跡地利用が進んだ後の個人や企業の経済活動が生み出す支出額を合算したもので、返還直後のインフラ整備が落とす収入については除外している。
 県は、普天間基地など嘉手納より南の基地が返還されることによる直接経済効果を8900億円と試算し、返還前の現在の経済取引額の18倍に上ると試算している。
 友知教授はこれに加え、沖縄市、北谷町、嘉手納町にまたがる嘉手納基地については、県が試算したキャンプ瑞慶覧やキャンプ桑江の返還効果を適用するなどして試算を追加した。
 一方で、嘉手納弾薬庫など山間部分や離島にある基地については跡利用の効果が限定的として、経済効果の積算に含めていない。
 友知教授は5日に沖国大で開催される三大学共同シンポジウム「戦後70年、地域経済の変容と展望」で、今回の試算を報告する。