参院選、慰霊の日公示に全首長反対 「鎮魂の日にそぐわない」 県内市町村長アンケート


この記事を書いた人 田盛 良一

 自民、公明両党が参院選の公示日を「慰霊の日」の6月23日とする方向で検討していることについて、県内の全41市町村長に琉球新報が4日までに見解を聞いたところ、首長全員が反対の意向を示し、公示日を慰霊の日以外に変更するよう求める声が上がった。那覇と名護の両市を除いた県内9市長で組織する「沖縄の振興を考える保守系首長の会」(通称・チーム沖縄)のメンバーも全員が反対と回答した。沖縄戦の犠牲者を追悼する「慰霊の日」を県内の首長全員が鎮魂の日として大切に考えていることがあらためて浮き彫りになった。

 反対の理由は「慰霊の日は県民にとって戦没者を追悼する鎮魂の日。非常に大切な日に公示はそぐわない」などとする回答が最も多かった。
 毎年慰霊の日に沖縄全戦没者追悼式の式典会場となる糸満市の上原裕常市長は「慰霊の日は戦没者を鎮魂すると県で決めた大切な日だ。街宣車が走るなど騒々しい状況はなじまないと思う。慰霊の日の趣旨を尊重してほしい」と政府に理解を求めた。
 チーム沖縄会長の下地敏彦宮古島市長は「県民感情としては慰霊の日は亡くなった人を思い、平和を願う日だ。静かな雰囲気でしたい」と述べ、公示日とすることに反対の意向を示した。
 城間幹子那覇市長も同様に「慰霊の日は沖縄戦で犠牲となった全ての戦没者を悼み、静かに祈りをささげる日だ」とし、公示日にはふさわしくないとした。
 一方、多良間村の伊良皆光夫村長は、辺野古問題で県と国が対立していることについても触れ「もしこの日に行われるなら、また沖縄の思いを踏みにじるような国の対応も問われるだろう」と述べた。さらに県内各地で慰霊祭が執り行われる中「(公示で)ガンバローとやるのは大いにふさわしくない」と指摘した。
 うるま市の島袋俊夫市長は「6・23に対する思いは、沖縄は一つだ」と述べ、西原町の上間明町長は「県民挙げ一日中鎮魂の日となる。厳粛な日に選挙カーががなり立てるのはいかがなものか」と疑問を投げ掛けた。