「命が小石のかけらに」 平和シンポ、戦争の実相語り合う


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沖縄戦を後世にどう伝えるかを議論した平和シンポジウム=5日、沖縄国際大学

 【宜野湾】「終戦70年、私たちは後世に何を伝えるか」をテーマにした平和シンポジウム(はごろも長寿大学同窓会主催)が5日、沖縄国際大学で開かれた。沖縄戦体験者で宜野湾市女性団体連絡協議会の元会長、石川吉子さんは、次男兄の戦死に伴い届けられた白木の箱を開けた際、中に入った白いサンゴを振り返り「大切な命を小石のかけらに変えてしまうのが戦争の怖さ。命を生み育てた母親を悲しませる戦には絶対反対し、許してはならないと思う」と話した。

 シンポジウムはアメリカユー育ちの仲松彌孝さん(はごろも長寿大学同窓会)、戦後生まれの石川勇作さん(普天間小教諭)、平成世代の角野大さん(沖国大大学院生)、助言者として石川元平さん(元1フィート運動の会副代表)が登壇。沖国大教授の保良昌徳さんがコーディネーターを務めた。
 仲松さんは、結婚式や葬式など家族の営みや家庭内での仕事、役割を与えていく中にも平和学習の機会があることを指摘し「日常何でもないことを続けること、互いに相手のことを気遣い、思いやることが平和学習の第一歩」と呼び掛けた。
 「学校現場における平和教育の意味」をテーマに話した石川勇作さは、生徒たちへ祖父母が沖縄戦で戦死していたらと、身内に置き換えて考える平和学習の一例を紹介した。一方で「風化を危惧しているが、時間のゆとりがない」と、現場の実情も報告した。
 角野さんは「豊かな社会の若者にとって沖縄戦とは」をテーマに話した。学生の100人アンケートの結果から、学生が沖縄戦体験者に教えてほしいこととして「沖縄戦で体験したこと全て」が36%で最多であることなどを伝えた。
 学識経験の立場から発言した助言者の石川さんは「1フィート運動の記録フィルムを、作られた映画と見間違える子もいる。学校の平和教育の現場では地域の人や文物など、地域力を活用して取り組む必要がある」と指摘した。