県は18日、沖縄戦に動員された21の学徒隊の校名を刻銘した合同石碑の設置に向け、本格的な検討作業に入ることを明らかにした。県議会はこの日、知事を宛先とする「学徒合同石碑の建立に関する決議」を全会一致で可決。文教厚生委員会から要請決議文を受け取った浦崎唯昭副知事が「実行できるようにしていきたい」と答えた。県子ども生活福祉部によると、全学徒の関係者に刻銘の意思確認などの作業を進めていく。その上で新たな石碑の設置場所には糸満市摩文仁の平和祈念公園内を視野に入れている。
戦前那覇市にあった私立昭和高等女学校の同窓生でつくる梯梧(でいご)同窓会(稲福マサ会長)は、沖縄戦に動員された21の学徒隊のうち亡くなった約千人の名前を記した刻銘版の設置を県に求めていた。2013年4月、梯梧同窓会は刻銘板建立の陳情を県議会に出した。
梯梧同窓会の上原はつ子さん(87)=那覇市=と吉川初枝さん(87)=同=は文教厚生委員会に参考人として招かれ、「ひめゆり学徒隊は有名だが、ほかの学徒は知られていない。21の学校名、所属部隊名などを記した合同碑をつくってほしい」と訴えていた。上原さんらによると、建立地の候補地として糸満市米須のひめゆりの塔近くにも土地を確保している。
18日の文教厚生委員会の要請で、浦崎副知事は「以前の上原さんからの要請で、学徒隊が21あることを知った。実行に向けて進んでいきたい」と答えた。
今回の決議と県が作業に入ることについて、上原さんと吉川さんは「設置の方向が示されて良かった。実現に向けて多くの調整が残されているかもしれないが、私たち体験者が元気なうちに実現してほしい」と語った。