やんばるの食材を使ったジェラートとマカロンの専門店「LA VOUS(ラ・ボウス)」が、1日から宜野湾市嘉数で営業を始めている。ジェラートのレシピを開発したのは、5月の日本ジェラートマエストロコンテスト(日本ジェラート協会主催)で日本一に輝いた柴野大造さん(40)。本部町観光協会長の當山清博さんを代表とする新会社が店舗運営や販路開拓に取り組み、やんばるの農産物の高付加価値化を図る。来年1月の世界大会に挑む柴野さんは「やんばる素材で本場を驚かせたい」と意気込んでいる。
本部町のアセロラ、今帰仁村のスイカ、東村のパイナップル、名護市勝山のシークヮーサー、伊江村の紅芋―。やんばる育ちの果実の味と彩りをふんだんに引き出し、甘酸っぱいジェラートに仕立て上げた。
柴野さんは知人の紹介で當山会長と知り合い、やんばるの農産物を活用した新商品のプロデュースに携わった。自ら生産現場を歩いて素材の発掘から手掛け、「やんばるは素材の宝庫で、まだまだ知らない味がある。ジェラートを通して国内外に発信するお手伝いをしたい」とほれ込んだ。
中でもお薦めは、目の覚めるような紫色が特徴のドラゴンフルーツ。「発色はいいが味がぼやっとした部分がある」ということで、キウイと組み合わせることで見事に味が引き立った。年明けにジェラートの本場イタリアで開かれる世界大会に向け「ビビッドな色合いは欧米の人が好むと思う。シークヮーサーなど向こうにはない素材で勝負したい」と語る。
「LA VOUS(ラ・ボウス)」ではやんばる素材のジェラートのほか、日本ジェラートマエストロコンテストの優勝作品「オレンジマスカルポーネ」などの種類もそろえている。
石川県出身の柴野さんは、ジェラート職人を志す前は自身も酪農農家の跡継ぎだったこともあり、「生産者の気持ちが分かる」と話す。「収穫時期がずれたり少し傷が付いたりしただけで市場に流通させていない農産物を加工し、ジェラートの材料として流通に回したい」と付加価値を高める意義を語り、今後、沖縄でジェラート職人の講習会を開催するなどして素材の発信を図っていくという。