「平和の武器は学習」 ヌチドゥタカラの家 阿波根さんの思い継ぎ


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紙芝居に耳を傾ける佐藤花さん(左から2人目)と平和について語る謝花悦子館長(左)=2015年12月23日、伊江村の一般財団法人わびあいの里

 【伊江】一般財団法人わびあいの里、反戦平和資料館「ヌチドゥタカラの家」(謝花悦子館長)には連日、全国から平和を願う人々が訪れている。謝花館長やスタッフは、故阿波根昌鴻さんが「平和の武器は学習」と言い残した思いを受け継ぎ、伊江島の戦争体験者から聞き取りを重ね、語り部的な役目を担っている。来訪者が望む平和学習に添う懸け橋にもなっている。

 昨年12月23日、北海道在住の佐藤花さん(17)は父親と一緒にわびあいの里を訪れた。佐藤さんは中学1年生の時の平和学習をきっかけに沖縄、広島、長崎、東京などを訪れ、戦争体験者らから聞き取りをするなど独自の活動を続けている。
 学習を重ね、同世代の若者に過去の事実を知ってもらいたいと、「平和」をテーマにスピーチコンテストなどで思いを発表している。来沖の折、元ひめゆり学徒隊から話を聞く中で「集団自決」を知った佐藤さんは「あまりの衝撃で受け止められなかった」と思いを募らせた。今回、「集団自決」について詳しく知りたいと来島した。
 わびあいの里は、住民で集団自決の生き残りの大城安信さんが当時を語っている動画を上映した。ほかに、戦争体験者の証言に基づいて作られた紙芝居「伊江島人ぬ戦争体験談」(伊江村教育委員会発行)から2話、読み聞かせをした。
 謝花館長の話を聞いた佐藤さんは「『平和』に対する強い思いが伝わった。これからも私にしか語れないありのままを伝えていきたい」と話した。
 謝花館長は「(わびあいの里を)訪れる人が多くなったということは平和を考える人が多くなったということ。戦争は人災であり、平和をつくるのは人間だ」と強く訴えた。
(中川廣江通信員)