辺野古停止、国の不服審査請求 行政法学者31人「不適」


この記事を書いた人 志良堂 仁

 琉球新報社は26日までに、米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設計画に関して翁長雄志知事が前知事による辺野古埋め立て承認を取り消したことに対する一連の国の対応について、全国の行政法研究者ら257人を対象にしたアンケートを実施した。35人が回答した。承認取り消しに対して沖縄防衛局が国土交通相に行政不服審査法に基づく審査請求・執行停止申し立てをしたことについて、31人(89%)が「(法的に)適切でない」と回答した。

 公有水面埋立法を所管する国交相が、承認取り消しの効力を一時的に無効化する執行停止を決定した上で代執行手続きを進めていることや、地方自治法で定められた他の措置を経ずに代執行手続きを進めたことについても「適切でない」との回答が多数を占めた。法的な観点からも、国の対応に一定程度の専門家が疑問を抱いていることが浮き彫りになった。
 防衛局が承認取り消しに対して審査請求・執行停止を申し立てたことについて「適切だ」と答えたのは1人(3%)。3人(9%)が「どちらともいえない」とした。
 国交相が執行停止決定をしながら、取り消し効力を取り消すための代執行手続きを並行していることについては、29人(83%)が「適切でない」と回答。3人(9%)が「適切だ」、3人(9%)が「どちらともいえない」と答えた。
 法定受託事務の処理に関して是正を求めるための他の措置を経ず、また審査請求の結果判断を待たずに国交相が代執行手続きを進めたことには24人(69%)が「適切でない」と答え、「適切だ」2人(6%)、「どちらともいえない」9人(26%)だった。
 調査は昨年11月とことし1月、判例集「行政判例百選」(有斐閣、2012年発行)「地方自治判例百選」(同、13年発行)の執筆者のうち、故人や所属先不明者らを除く257人にメールやFAXなどで実施した。回答率は13・6%。