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糸満市の鉱山開発 「止められないなら受け入れるほかない」「生活に影響及ばぬよう」 地元の米須区、粉じんや騒音、健康被害を懸念


糸満市の鉱山開発 「止められないなら受け入れるほかない」「生活に影響及ばぬよう」 地元の米須区、粉じんや騒音、健康被害を懸念 鉱山からの土砂採取に反対する集会で、自然壕「シーガーアブ」を見学する参加者たち=7月15日
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 【糸満】鉱山開発計画が進む地元の糸満市米須には493世帯1136人(7月末現在)が暮らす。区側は、採掘に伴う粉じんや騒音、健康被害などを懸念し、沖縄土石工業との間で、対策や配慮に関する嘆願書や誓約書を交わしてきた。県による農地転用許可を受け、神村進自治会長は「開発を法的に止められないなら、地元は受け入れるほかない」とした上で、住民生活に影響が出ないよう対応してほしいと念を押した。

 2021年3月に同社が米須自治会に提出した誓約書では、農業従事者や農作物に粉じんの影響が出ないよう留意することや、騒音に配慮することなどを明記。その後、粉じん防止策として1日5回の散水車による巡回などを示している。

 同社は土砂搬出道路に隣接する自然壕シーガーアブについても、「住民が畏敬の念を持って接する場で歴史的に貴重」だとして配慮を求める区側の意見を尊重し配慮する旨の誓約書を同年3月に区に提出。採掘箇所は終了後に埋め戻し、桜や果樹を植えて地域の憩いの場とする計画も示している。

 神村自治会長は「工事が始まれば少なからず問題は生じる。その都度、自治会と協議し、生活に影響を及ぼさぬよう具体的に対応してほしい。採掘後は、周辺の慰霊塔の沖縄戦戦没者が安らかに眠れる環境に戻してほしい」と同社に求めた。
 (岩切美穂)