沖縄発の焼却炉、バリへ JICA支援事業 トマス技研が開発


社会
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
トマス技術研究所が開発した小型焼却炉「チリメーサー」(同社提供)

 国際協力機構(JICA)はこのほど、国内中小企業の製品・技術を途上国の課題解決に活用する2015年度中小企業海外展開支援普及・実証事業に、トマス技術研究所(うるま市)が開発した小型焼却炉「チリメーサー」を採択した。インドネシア・バリ島の中央総合病院に導入し、医療廃棄物の適正管理方法の検証を進める。

 チリメーサーは独自の自動燃焼制御システムで黒煙を出さず、ダイオキシン類を高温で分解する。小型で運転コストも低く抑えられ、離島自治体の漂着ごみ処分など国内で70基を販売している。トマス技術研究所は海外展開に当たり、島しょ地域における環境に配慮した小型焼却炉として、沖縄同様に多くの島々を有するインドネシアでの普及・実証を提案してきた。
 同社技術営業課の小幡浩さんは「小型でポイントごとに設置できるため、島しょ地域に導入メリットがある。病院での実証事業を契機に、広く普及に取り組みたい」と述べた。
 インドネシアでは急速な人口増加と経済成長に伴って廃棄物の投棄や違法処理の問題が深刻化しており、JICA沖縄は「特に医療廃棄物は厳重な適正管理が急務だ。沖縄発の小型焼却炉がインドネシア国内に普及することで、廃棄物問題の解決に寄与できる」と期待した。
 同事業の県内からの採択企業は、アクシオヘリックス、福山商事、沖縄小堀電機、レキオ・パワー・テクノロジーに続いて5社目。