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泡盛の蒸留粕「カシジェー」を料理に活用!?【島ネタCHOSA班】


泡盛の蒸留粕「カシジェー」を料理に活用!?【島ネタCHOSA班】 カシジェーの和え物。カシジェーの風味がカツオや島野菜とマッチ
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

週末に、知人の田中えりさんが主催する、カシジェーを利用した食事会に参加しました。田中さんは、家庭料理の本の取材でカシジェーと出合い、カシジェー料理家として活動を始めたそうです。レキオでも取り上げてもらえませんか?

(玉寄真紀さん)

恥ずかしながら、依頼者からのメールに「カシジェーって何?」と首をかしげた調査員。調べたところ、カシジェーとは泡盛の製造工程で生まれる蒸留粕。栄養価が高く、豚の飼料として利用されてきた歴史があり、もろみ酢や畑の飼料に使われることもありますが、現在はその多くが捨てられてしまっているそう。

酸味と爽やかな香り

調査員はさっそく、そのカシジェーを料理に役立てようとしている田中えりさんを訪ねてみました。

田中えりさん

まずは、田中さんが個人的に醸造所から分けてもらってきたというカシジェーを見せてもらいます。甘酒のような乳白色の液体で、そのまま飲むこともできるそう。「ちょっとクセがあるかもしれません」という言葉に、おそるおそる口にしてみたところ…。確かに独特の酸味はありますが、爽やかと形容できそうな香りが印象的。でも、このカシジェーをどうやって料理に活用するの?

カシジェーは乳白色の液体。そのまま飲むこともできます

レシピを開発

大阪生まれ、東京育ちながら、沖縄好きが高じて2008年に沖縄に移住した田中さん。「私はとにかく食に興味がある」と目を輝かせます。

沖縄に移住後、琉球料理の教室に通い、その歴史や文化 に触れてきた田中さん。やがて、県内各地の普通の家庭で食べられている料理を一冊の本にまとめ、出版することになりました。

カシジェーと出合うきっかけとなった田中さんの著書『沖縄 いつもの家族ごはん』(講談社)

「それで与那国島を訪ねた時、民具作家・唄者の與那覇有羽さんに、カシジェーの和え物をふるまってもらったんです」

それは、新鮮なカツオに、にんにく、しょうが、玉ねぎ、モウイ、サクナ、香りのよい野菜を加え、酢の代わりにカシジェーで混ぜた和え物。同じものを田中さんに作ってもらい、調査員も食べてみたところ…。酸味と香りが、カツオと野菜にマッチ! とりわけ、サクナやモウイなど、島野菜との相性が抜群です。

カシジェーの魅力を知った田中さんは、もっと広く知ってもらいたいと、今年5月からカシジェー料理をふるまう食事会を定期的に開催。

レシピのほとんどは田中さんのオリジナル。その中から、カシジェーと島豆腐を混ぜ、クリームチーズ風にアレンジした料理を試食させてもらいました。

カシジェーと島豆腐を混ぜ、クリームチーズ風にアレンジしたレシピ

また、カシジェー料理には、料理人やパティシエが興味を示すことも多いそうで、田中さんの友人が焼いた、カシジェーを使ったチーズケーキもいただくことができました。二品とも、カシジェーの爽やかな香りが、料理に大人っぽい上品な彩りを与えているように感じました。

「クエン酸も多く含まれるカシジェー料理を食べると、元気になる気がしますね」と田中さんはニッコリ。

「長持ちしないのが課題」としつつ、「将来は商品化したり、給食で子どもたちに味わってもらったりしたい」と夢を語ってくれました。


食事会の情報は田中えりさんのインスタグラムで更新しています

Instagram:eri_tanaka_happy

(2023年9月21日 週刊レキオ掲載)