<南風>人生のパートナー


<南風>人生のパートナー
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 県の同時通訳養成プログラムの研修生として北京に留学したのは2003年9月だから、今からちょうど20年前だ。後に私と結婚することになった妻も同じころに台北に留学した。中国大陸と台湾の違いはあるが、お互いに慣れない環境に身を置き、電話やメールで励まし合ったのを今でも覚えている。04年に2人とも留学を終え、私は2年目の研修、妻は就職活動のため上京し再会を果たした。

 私は研修先の通訳者養成スクールで実力が認められ、自分の研修が修了してからはスクールが派遣する講師として企業で中国語を教えていたのだが、ある時現在の職場の求人情報を耳にした。中国語を駆使する職場環境に魅力を感じる一方、大学で考古学専攻だった私は当時国際貿易業務には全く関心がなかった。

 応募するかどうか迷っていると、妻(当時はまだ彼女)から「採用されて合わなければ3カ月で辞めればいい。目の前にチャンスがあるのにやる前から放棄するのは間違っている」とアドバイスされ採用試験を受けに行った。この一言のおかげで今の私がある。

 06年に結婚し、家族が増えて仕事も安定していた15年、妻から「あなた、常々通信制の大学院に通いたいと言っているけど、いったいいつになったら実行するの? 今願書を出すなら学費は家計から出すから、どうするか今決めて」と言われて受験を決意し、16年に放送大学大学院に入学、18年には無事修士号を取得することができた。

 夫婦のあり方についての考えは人それぞれだろうが、私は対等なパートナーとしてお互いを信頼し、相手の幸せや目標の達成を願い、傍らで見つめながら的確な助言を送り、ともに人生を豊かにしていくような関係でありたい。読んでの通り、私にとって妻はまさにそのような存在だ。出会えたことに感謝している。

(泉川友樹、日本国際貿易促進協会業務部長)