外国籍児らへの日本語支援 県内18市町村が実施


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 県内の公立小中学校に通う外国籍や親が外国人など海外にルーツがある子どもの日本語支援や指導について、18市町村が何らかの取り組みをしていることが3日までに分かった。琉球新報が全41市町村に行ったアンケートで明らかになった。日本語教室を設置しているのは5市町村に計11校あり、日本語支援員が児童生徒に付き添って支援しているのは6市町村ある。公立学校に通い、日本語支援・指導が必要な外国籍や海外にルーツがある児童生徒は少なくとも107人いる。

 調査は琉球新報が1月6日から8日に41市町村の教育委員会に調査票を送り、同28日までに全市町村から回答を得た。
 日本語支援の開始年度が分かっている市町村の中では、沖縄市が支援員の付き添いを1991年度から、教室の設置を99年度から実施し、最も早い取り組みになっている。
 日本語教育に関する県や国への要望は、日本語指導教師の配置や日本語教室設置のための予算を求める声が5自治体から上がったほか、保護者から支援を求められている自治体もあった。
 離島の自治体は「最近は(対象児童生徒の)言語数が増加している。(支援員について)英語以外の人材確保が難しい」と声を上げた。対象となる児童生徒に備え「支援・指導が必要な場合の事例を周知してほしい」との声もあった。
 県は文科省と本年度、北谷町、宜野湾市、沖縄市、恩納村の小学校計8校に8人の日本語指導教員を加配配置し、2016年度以降も維持する方向だ。一方、指導教員の育成を担う県義務教育課によると本年度に続き、16年度も予算措置の予定はない。
 文部科学省が昨年発表した調査では一昨年の5月1日時点で県内の公立小中学校に在籍し、日本語指導が必要な日本国籍の児童生徒数は小・中・高校、特別支援学校などを含めて129人で、英語を母国語としている人が73人、日本語を母国語としている人が36人となった。一方、日本語指導が必要な外国人児童生徒数は87人で、英語が母語の児童生徒が49人、フィリピン語が18人だった。日本語指導が必要な児童生徒数は全国で2万9198人となり、過去最多だった。

◆支援必要な子、調査より多い/高橋美奈子琉大准教授の話
 県内の特徴は外国籍より日本国籍で日本語支援が必要な児童生徒が多いことだ。学校関係者が「日本語支援が必要な児童生徒」はどういう子なのか理解しているかについては疑問が残る。教師や友人とのやりとりは問題ないが、授業についていけない子の場合、「言語能力の問題はない」とみなされることもある。これらを踏まえて考えると、実際に支援が必要な児童生徒は調査結果よりも多いだろう。
 また、日本語支援を必要とする児童生徒が、必ずしも支援を受けられていないことは問題だ。2014年の学校教育法の改正で、日本語が通じない児童生徒に特別な教育課程を編成・実施できるよう制度整備された。
 県内は制度を知らない学校、知っていてもどうすればいいか分からない学校も多く、全国の実施率よりも低いことが予想される。(日本語教育学)
英文へ→Okinawan municipalities conduct Japanese language assistance for students with foreign citizenship