マメ科の植物「バタフライピー(和名・チョウ豆)」の活用を目指すバイオベンチャーのバタフライピー研究所(那覇市、王鵬龍社長)は2日、製薬大手のロート製薬(大阪)と研究開発に関する業務提携を締結したと発表した。ロート製薬などからの資金調達にも成功。バタフライピーの生産量の拡大や治験の進展を図り、豊富に含有されるアントシアニンを活用した医薬品開発に向けて共同研究を進める。
専門機関による成分調査で県産バタフライピーは、ブルーベリーの約10倍に当たるアントシアニンが含まれることが判明。アントシアニンは抗酸化物質ポリフェノールの一種で、眼精疲労の改善や抗酸化作用など美容・健康の効果が期待されており、同研究所は「これまでの研究を評価してもらい、参画いただいた」と大手製薬が着目したことに大きな手応えをつかんだ。
現在の契約農家は7カ所。2021年の創業から生産量は年間10トンまで伸ばした。順次、農家を雇用し、当初の5年計画の100トンを目指す。研究部門では機器を整備し、細胞から動物試験など治験を進展させる。ロート製薬と連携し、目に効用のある医薬品開発などにつなげる共同研究を推進するという。
資金調達はロート製薬とシンバホールディングスの2社と琉球大学付属病院教授など個人3人を引受人として第三者増資割り当ての方法で実施した。
調達額については「1億円に届かない、数千万円」と説明した。研究水準を実用段階まで引き上げるための投資、増産に向けた農家雇用に活用し、事業推進を図る。
この日、県庁で会見した王社長は「研究をしていく中で大学や上場企業に、その価値が認められた」と胸を張った。医薬品の原料としての活用や健康食品開発を目標に掲げ「今後は沖縄のためになると自信を持って取り組んでいきたい。持続可能な事業にしたい」と事業を加速させる方針を示した。
(玉寄光太)