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新規エイズ患者数、沖縄が全国最多 22年、人口10万人当たり 早期発見へ検査呼びかけ


新規エイズ患者数、沖縄が全国最多 22年、人口10万人当たり 早期発見へ検査呼びかけ イメージ
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 沖縄県内の2022年の人口10万人当たりの新規エイズ患者数は0.61人で、全国最多となったことが2日までに分かった。新規HIV感染者数は0.61人で、全国6番目に多かった。新型コロナウイルスの影響で一時休止した保健所での検査件数は22年に244件と、21年の60件を上回るも、コロナ禍前の水準には戻っていない。

 県感染症診療ネットワークコーディネーターの新里尚美さんは「検査を受けやすい環境や検査機会を提供できるよう取り組んでいく。自分の健康のために定期的な検査をお願いしたい」と呼びかける。

 厚生労働省のエイズ動向委員会がエイズ発生動向年報で報告した。沖縄は11年から、人口10万人当たりの新規のHIV感染者、エイズ患者ともに全国上位に入っている。 全国的には新規HIV感染者と新規エイズ患者の報告数は21年を下回り、6年連続の減少となった。エイズ動向委員会はコメントを発表し、「新型コロナの流行に伴う検査機会の減少などの影響で、HIV感染者が十分に診断されていない可能性に留意する必要がある」と指摘した。

 HIVの感染経路は性行為による感染、母子感染、血液を介した感染があり、性行為による感染が最も多いとされる。感染すると典型例では風邪のような症状が出た後、数年間は自覚症状のない時期が続きエイズを発症する。治療の早期開始・継続がエイズ発症を防ぐことにつながるため、HIV感染の早期発見が重要になる。

 例年、県内6カ所の保健所で無料・匿名検査が2千件程度あったが、新型コロナ拡大による業務逼迫(ひっぱく)で検査の休止が相次いだ。現在、各保健所では検査を実施中で、県内9カ所の民間医療機関も有料の検査に対応している。

 新里さんは「HIVに感染しているかは、検査を受けなければ分からない。HIV治療は非常に充実しており、感染した場合でも適切な治療を行えばウイルス量をコントロールできる」と指摘。その上で「『自分は関係ないから』ではなく、まずは検査を受けてもらいたい。自身の身体の状態を知ることは非常に意味がある」と強調した。

(吉田早希)