prime

興南が投打で他を圧倒、沖尚は打力不足を小技でカバー<沖縄県高校野球秋季大会・総評>


興南が投打で他を圧倒、沖尚は打力不足を小技でカバー<沖縄県高校野球秋季大会・総評> 優勝し、ダイヤモンドを一周する興南ナイン=7日、タピックスタジアム名護
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 高校野球の第73回県秋季大会は9月9日~10月7日の日程で、沖縄セルラースタジアム那覇などで行われ、興南が2年ぶり10度目の優勝を飾った。同校と準優勝の沖縄尚学は第153回九州地区大会(28日~11月3日、福岡県)への出場権を得た。1カ月にわたって繰り広げられた熱戦の模様を振り返る。

興南、総合力発揮

 興南はノーシードから頂点へと上り詰めた。序盤から総合力の高さを発揮し、準決勝までの5試合中4試合でコールド勝ちを収める強打を誇った。決勝の沖尚戦でも8点差を付け勝利するなど最後まで圧倒的な強さを見せた。

 チーム打率は3割6分2厘で、中でも打線を引っ張ったのは仲田陽や仲野大雅ら中軸。仲田陽は4割6分7厘、仲野は6割ちょうどと好調さを維持した。仲田陽は準々決勝から4番を任された。大会序盤はインフルエンザの影響で欠場や途中交代する試合もあったが、決勝では2点先制打を含む3安打4打点の活躍を見せ、主砲としてチームをけん引した。

 興南の強さは投手陣の層の厚さからもうかがえた。エース左腕の田崎颯士は球速140キロ前後の球と切れのある変化球を織り交ぜる投球で、多くの打線をねじ伏せた。田崎がインフルエンザで出場できなかった時は金城勇希や仲間駿らがマウンドに立った。準決勝まで興南の失点はわずか1。投打で他を圧倒し、栄冠をつかんだ。九州大会出場は4季ぶり33度となる。春の全国選抜への切符をつかめるか期待が懸かる。

沖尚、小技で躍進

 同じくノーシードの沖縄尚学は2回戦から登場し、着実に勝ち上がった。夏の甲子園8強入りを果たした一つ上の代と比べると長打力はやや劣るが、ヒットエンドランやバントを絡めて得点するなど自分たちのカラーを打ち出す野球を展開した。メンバーには1年生が多い中、2年生の伊智司耀矢(しょうや)や足立伶凰(れお)がバットでチームを鼓舞し続けた。投げてはエース入里凜が制球力の高さを見せた。決勝の興南戦では自責点4と課題も残したが、大会を通じて頼もしい存在へと成長し、今後さらなる飛躍を遂げそうだ。九州地区大会で強豪校とどこまで渡り合えるか注目したい。

より成長した姿を

 4強入りした宜野座と具志川商はどちらも優勝、準優勝校に劣らない試合運びで大会を盛り上げた。宜野座は2回戦で第1シードのエナジックを破り、優勝候補の一角に名を連ねた。沖尚との準決勝は乱打戦となり7―9で惜しくも競り負けたが、持ち前の長打力を遺憾なく発揮した。

 具志川商も高い打撃力を誇り、どの打順からでも安打が出るチームだった。沖縄水産を準々決勝で退けるなど、九州大会出場を目指し躍進を続けた。準決勝では興南のエース田崎の前に打線が沈黙。その悔しさを糧に、春や夏の大会を見据え一からチームを立て直すと誓った。

 そのほかコザの7年ぶりとなる8強、球陽や首里の16強入りなど今大会も見応えのある試合が満載だった。これから春季大会に向けたトレーニングが本格化する。チーム力の底上げを図るためには基礎力の向上が欠かせない。年を越し、各選手がより一層成長した姿をグラウンドで見せてくれることが期待される。

 (砂川博範)