知事「意義考えたい」 重粒子線施設 検討委が報告書


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 米軍キャンプ瑞慶覧・西普天間住宅地区(宜野湾市)の跡地にがん治療の重粒子線治療施設の導入を検討する委員会の安次嶺馨委員長は16日、県庁で翁長雄志知事に対し、検討内容をまとめた報告書を手渡した。報告書では同施設の導入について「意義を有する」「安定的な施設運営が可能」としたが「課題に十分留意し、引き続き慎重に調査検討を行う必要がある」とも注文した。翁長知事は「施設導入の方向性を含め、慎重に検討しながら意義を考えていきたい」と述べた。

 報告書では施設導入に向けた前提条件として(1)県内の放射線治療関係の専門的な医療人材の充実を図る(2)県内での外国人患者の受け入れ体制を構築する―ことを挙げ、県の関係部局などによる検討体制を整えるよう求めている。
 一方で報告書では、県内がん診療施設や国立病院機構などへの聞き取りと国内外の医療コーディネーターへのアンケートを通して算出した「患者数推計」を用いた収支の試算では施設運営が可能としている。
 事業期間20年間での累計収入は約353億円で、営業利益は約69億円とした。施設開業後2年で単年度黒字となり、6年で累積赤字が一掃されると計算した。想定される平均患者数は県内外から年間440人(県内188人、県外67人、海外185人)で、黒字になる分岐点を86人上回ると試算した。県民による施設利用の負担軽減を考慮した試算でも、安定した施設運営が可能になると結論付けた。