「はいたいコラム」 使える施設が良い施設


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 島んちゅのみなさん、はいたい~!山口県で仕事があったついでに、湯田温泉に最近できたという足湯カフェ「狐の足あと」に行ってきました。足湯と飲食と観光案内も兼ねた施設で、200円で岩風呂や室内3ヶ所の足湯が楽しめます。靴と靴下を脱いで足を温めると気持ちもゆったりしますね。オススメの山口地酒利き酒セット500円も注文し、足もとぽかぽかお酒でぽかぽか上機嫌、ああ、この世の極楽で~す。ハイな気分になってぶらり町歩きをしてみると、なんと、そこかしこに足湯スポットがあるじゃありませんか。湯田の町には7ヶ所の足湯があって、誰でも無料で入れるそうです。タダ湯もあったのか~!

 翌朝、元を取りに行きました。湯田温泉の源泉は66度!足湯もあぢあぢじわじわ~~。ほどなく70代後半ぐらいの女性2人がやってきて、世間話が始まりました。座布団持参!さすがです。聞くともなしに聞いていると~…、
 「狐の足あと、ありゃ税金の無駄づかいじゃ」「何もおもしろいことはない、あんなものはムダじゃ」と言い出したのです。わたしは昨日自分が大喜びして極楽気分を味わったことを決して悟られてはいけないと(なぜだかわかりませんが)、そそくさと退散しました。
 行政が地域振興のために作ったようで、旅行者には嬉しくても、地域の人に歓迎されていないのでしょうか~。
 ところがですよ、その後、たまたま地元の若手女性起業家なっちゃんと話したら、なんと「狐の足あと行ったの?あそこ最高でしょう~!」と大絶賛だったのです。足湯×地酒、足湯×WiFi完備で何時間でも過ごせるとのこと。働き盛りや若い世代には喜ばれても、70代のおかあさんのニーズ、ライフスタイルには合わなかったのです。自分が使わない施設ならよくない施設なのは当然です。人は置いてきぼりにされていると感じたら不満が出るんですね。課題が見えたらやることは一つ。足湯×演歌、足湯×和菓子、足湯×孫?具体案は別として高齢女性が喜ぶ企画を考えるだけですね。今回、わかったことは、足湯で人は本音を言うということ。マーケティングリサーチに足湯はもってこい、と、ここまで書いて今調べたら、沖縄は日本一温泉の少ない県でしたね~。足を湯で洗って出直さなくちゃ~。
 (フリーアナウンサー・農業ジャーナリスト)
(第1、3日曜掲載)
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 小谷あゆみ(こたに・あゆみ) 農業ジャーナリスト、フリーアナウンサー。兵庫県生まれ。介護・福祉、食、農業をテーマにした番組司会、講演などで活躍中。野菜を作る「ベジアナ」として、農ある暮らしの豊かさを提唱、全国の農村を回る。