収集活動30年、「伝承話」音声データ寄贈 県立博物館に3.3万話


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照屋寛信理事長(左)から伝承話の録音テープを受け取る安里進館長=県立博物館・美術館

 1973年から約30年間にわたって県内全域で「伝承話(でんしょうわ)」の調査・収集を行ってきたNPO法人沖縄伝承話資料センター(照屋寛信理事長、宜野湾市)が、音声データ3万3028話分を県立博物館・美術館(安里進館長)に寄贈した。24日、同館で贈呈式があり、照屋理事長は「教育、観光、村おこしや言語学のデータとしても価値がある。役立ててもらいたい」とあいさつした。調査したメンバーも出席し、県民の共有財産になったことを喜んだ。

 同センターは、沖縄国際大教授だった故遠藤庄治氏を中心に学生や地域の協力者で約1万3千人から約7万6千話を収集した。今回、デジタル化が完了した分のカセットテープ1508本とデジタルデータを寄贈した。
 安里館長は「県民、国民の財産というだけではなく、うちなーぐちの資料としても大事だ。これを基に孫、ひ孫の世代に同じ言葉で伝えられていくと信じている」とお礼を述べた。
 沖縄では民話、神話、伝説が合体した形で伝えられていることが多く、遠藤教授らは「伝承話」と表現した。各地に「民話の会」を組織して調査し、地域に還元するという方針によって各市町村で報告書や民話集として発刊されてきた。
 同館のエントランスホールで27日まで沖縄伝承話資料展を開催する。調査概要のほか、各地の代表的話者の肖像写真などを展示している。
 26日には昔話の語り、紙芝居の上演がある。問い合わせは(電話)098(851)5401。