高江着陸帯でも応酬 知事、防衛相に建設容認しない立場強調


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 翁長雄志知事と中谷元・防衛相の会談では、東村高江のヘリパッド建設をめぐる応酬も繰り広げられた。中谷氏は日米両政府が合意した米軍北部訓練場の約半分の返還は、東村高江のヘリパッド建設が条件であることを強調し、知事の「協力」を求めた。翁長知事は返還を決めたSACO(日米特別行動委員会)合意の着実な実施は県も求めているとしたが、垂直離着陸輸送機MV22オスプレイが同ヘリパッドを利用することがSACO合意以降に判明したため「交通整理が必要だ」と述べ、現段階でヘリパッドの建設は容認しない立場を強調した。

 中谷氏は北部訓練場を抱える東村や国頭村も早期返還を求めていると強調した。だが翁長知事は会談後、記者団に「国頭村、東村もやはりオスプレイに反対している」と反論したことを明らかにした。中谷氏は知事に「政府として安全性を確認した」と述べ、最後までオスプレイ配備をめぐって議論はかみ合わなかった。
 国頭村や東村は、返還対象区域を世界自然遺産として活用したいと希望している。翁長知事は「県北部には観光立県として計り知れない魅力がある。そこでオスプレイが飛び交うと、負担軽減というよりも県の方向性まであやめてしまう」と中谷氏に主張した。
 中谷氏は会談で、北部訓練場の約半分、4千ヘクタールが返還されれば、在沖米軍基地面積の約20%が減るとも述べ、ヘリパッド建設の必要性を主張した。
 一方、県によると、日米両政府が合意している嘉手納より南の米軍基地の返還・統合計画と、北部訓練場の半分の返還を実行した場合でも、在日米軍専用施設が沖縄に集中する割合は現在の74%から69%へと5ポイント減るにとどまる。
 ヘリパッド移設を急ぐ政府の姿勢に対して、ある県幹部は「政府が重視している部分は、沖縄になお7割が集中するという点ではなく、4千ヘクタールという数字なんだろう」と述べ、根本的な問題意識の違いが浮き彫りになっている。