【浦添】心と体の性が一致しない性同一性障害(GID)について砂川雅(みやび)さん=日本性同一性障害と共に生きる人々の会沖縄支部役員=を招き18日、浦添市の男女共同参画推進ハーモニーセンターで多様な性を学ぶ講座が開かれた。約30人が参加した。
砂川さんは男性として生まれたが幼いころから自分の性に違和感を抱いて育った。「正直違和感どころの話ではなく、当事者にとっては生きるか死ぬかの問題だ」と述べ「教育現場で正しい知識と理解があれば社会が少しずつ変わるのではないか。啓発活動が重要だ」と語った。
ある調査によると、GIDの児童生徒に対し教育現場で特別な配慮があったのは全国で62%なのに対し、県教育庁の調査では31%だった。学校で必要な配慮とは、トイレの使用や修学旅行でのお風呂、プールの更衣室、健康診断などで、砂川さんは自身の体験から配慮の足りなさは「人権侵害以前の問題だと思う」と指摘した。
また、本来の性に近づくためにはホルモン注射が必要だが、医療保険の適用外で、注射が受けられる医療機関も限られている。「身近に医療が受けられる環境にはなっていない。離島やへき地はさらに深刻だ。中には自傷行為や自殺につながる場合もある」と述べた。
雇用問題についても9割の人が就労環境で困難を抱えているデータを示し「事実を打ち明けたら、明日から来なくていいということにもなり得る」と述べ、実効性のある施策を求めた。
参加者からは「当事者から相談を受けたらどう対応したらいいか」「受け入れられたと実感できる状況とはどのようなものか」などの質問があった。