「普天間駐車場制限は人権侵害」 日弁連、米軍に勧告書


この記事を書いた人 志良堂 仁

 【東京】米軍輸送機オスプレイ配備への抗議運動などを理由に宜野湾市や米軍が「普天間市民駐車場」の利用を許可していないと市民らが訴えている問題で日弁連は、米軍普天間飛行場のピーター・リー司令官に対し、利用を認めるよう求める勧告書を出した。駐車場を管理する市にも2月に要望書を提出した。30日、日弁連が明らかにした。

 県民6人が2013年に日弁連へ人権救済を申し立てていた。日弁連はことし2月26日、市に要望書を提出した。普天間飛行場にも勧告書提出の手交を申し入れたが、回答がなかったため、3月25日付で勧告書を同基地司令官宛てに送付した。米軍は日弁連からの事実関係の照会などに返答していない。
 勧告書は市民の利用を禁止する行為について「憲法や国際人権規約で保障された思想、信条の自由、表現の自由を侵害する」と指摘。米軍に対し、抗議行動をする市民が駐車場や付設トイレを利用することを理由に駐車場を閉鎖しないことや、兵士を巡回させて監視しないよう求めた。市や観光協会にも「市民に駐車場を利用させないよう求めないこと」と要望した。
 申し立てを審査した日弁連の市川正司人権擁護委員会委員長は米軍に関し「思想信条の理由に基づいて差別的な取り扱いをしており勧告に値する。内心の思想で人を選別するべきではない」と批判した。宜野湾市に対しては「一般市民から早期に再開してほしいとの要望を受け、板挟みになっていた部分も否定はし難い。だが地方公共団体として憲法や国際人権規約を順守する責務があり、米軍を説得するべきだった」などと述べた。
 市民駐車場は普天間飛行場の敷地内となっており、市の責任で管理することを条件に使用が許可されている。だが2012年のオスプレイ配備後に反対運動が起きたことで米軍が「警備上の理由」で同年11月に駐車場を閉鎖。市は米軍の要望を受ける形で看板を設置し抗議行動の市民らに利用を控えるよう促していた。