那覇市が生成AIを本格活用へ 文書のたたき台作成や要約など効率化 「業務時間が短縮された」


那覇市が生成AIを本格活用へ 文書のたたき台作成や要約など効率化 「業務時間が短縮された」 生成AIが下書きした文書を手に、那覇市の生成AI活用方針の策定を発表する知念覚市長=22日、那覇市役所
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 那覇市が22日、全ての文書関係業務で生成AIの利用を認める「那覇市生成AI活用方針」を発表した。自治体による生成AI活用ガイドラインは、埼玉県の戸田市などが公表しているが、県内では初めて。

 生成AIの利用範囲は、業務文書のたたき台作成や要約、関数の修正をはじめ、業務の効率化や行政サービスの向上に資するもの。生成AIを積極的に利用し、業務効率化と行政サービスの向上を図る。12月から導入する。

 那覇市は、一般のインターネット空間から切り離された行政専用のネットワーク「総合行政ネットワーク」上で動作する生成AIを使用する。また、入力情報が学習データに利用されない形態のサービスを使い、部署間の情報漏えいも防ぐ。

 那覇市は8月から9月にかけて、デジタル化推進員を中心に16部局40課の65人が、文章作成などに生成AIを用いて、利便性を検証した。検証の結果、職員の84%が「生成AI利用で業務時間が短縮された」と回答し、25%は「1日当たり平均1時間以上の業務時間が短縮した」とした。

 活用方針と合わせて策定された「那覇市AI活用ガイドライン」では、生成AIへの情報入力に際しては、非公開情報や個人情報などの入力を禁じている。また、生成物の取り扱いには、生成AIを利用したことを必ず説明することや、正確性について確認することなどが明記されている。

 知念覚市長は「(生成されたものに対する)検証能力が今後問われてくるだろう。まずは出来上がってきたものをグループで議論する作業も必要だ。慣れてくれば、決裁ラインでの確認で済むだろう」と話し、職員の検証能力の向上と合わせて、業務効率が上がることに期待をにじませた。 (藤村謙吾)