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「正直な花を咲かせましょう」 農作業着姿で訴えた「戦争反対」 石垣の集会に参加した上原さん<県民平和大集会>


「正直な花を咲かせましょう」 農作業着姿で訴えた「戦争反対」 石垣の集会に参加した上原さん<県民平和大集会> 石垣市での集会で「私は戦争に協力できません」と語る上原政一さん=23日、石垣市の新栄公園
この記事を書いた人 琉球新報社

 【石垣】「正直な花を咲かせましょう。私は戦争に協力できません」。23日に石垣市であった軍備増強に反対する市民集会。市川原の上原政一さん(72)が参加者に語りかけた。言葉の裏にあるのは軍拡を進める政府への「怒り」。「うそつきな政治家に投票しないで」との思いを込めた。「直接的に言うより、花に例えた方がいいかなと思って」「きれいな花にはトゲがあるって言うさ」

石垣だけでなく、沖縄の全ての軍事基地がなくなることを願っている上原政一さん=24日、石垣市川原

 自然豊かな川原地域で農業をしている。陸自石垣駐屯地開設やオスプレイの飛来、日米共同訓練実施―。島で加速する軍事的な動きに「戦争の足音が迫っている」と危機感が募り、集会に足を運んだ。

 いつもの農作業着姿で、白髪を風になびかせながら、マイクの前に立った。前日に用意した原稿を、太くごつごつした指でめくりながら読み上げた。「戦場づくりは沖縄ではやめてください。ハブとモグラと一緒に寝る日も近いかも」。戦争が起きたら「トイレ、お風呂はどうなるのか」。生活に根差した自身の言葉で戦争反対の思いを訴えた。

 祖父は戦争マラリアで命を落とした。父は海軍兵として招集された。父は戦争のことを話したがらなかった。戦後、酒を飲むと暴れた。今、振り返ると「嫌なことがいっぱいあったんだろうなと思う。(父も自身も)戦争がなければもっと違う人生だったはず」。上原さんは子どものころからそう思っている。

戦争マラリアで亡くなった祖父や海軍として戦場に招集された父について話す上原政一さん=24日、石垣市川原

 妻と共に4人の子を育て上げた上原さんは年を重ねるごとに、子や孫の将来が不安になる。「軍事ではなく、自然と夢と希望を若者に与える政治をしてほしい」。そのために最も望むこととして「沖縄のどこにも軍事基地を置かないと国連で決議してほしい」と強調した。

 集会のスピーチは冒頭だけでなく、最後も同じ言葉で締めくくった。「正直な花を咲かせましょう」 

(照屋大哲)