【石垣】「正直な花を咲かせましょう。私は戦争に協力できません」。23日に石垣市であった軍備増強に反対する市民集会。市川原の上原政一さん(72)が参加者に語りかけた。言葉の裏にあるのは軍拡を進める政府への「怒り」。「うそつきな政治家に投票しないで」との思いを込めた。「直接的に言うより、花に例えた方がいいかなと思って」「きれいな花にはトゲがあるって言うさ」
自然豊かな川原地域で農業をしている。陸自石垣駐屯地開設やオスプレイの飛来、日米共同訓練実施―。島で加速する軍事的な動きに「戦争の足音が迫っている」と危機感が募り、集会に足を運んだ。
いつもの農作業着姿で、白髪を風になびかせながら、マイクの前に立った。前日に用意した原稿を、太くごつごつした指でめくりながら読み上げた。「戦場づくりは沖縄ではやめてください。ハブとモグラと一緒に寝る日も近いかも」。戦争が起きたら「トイレ、お風呂はどうなるのか」。生活に根差した自身の言葉で戦争反対の思いを訴えた。
祖父は戦争マラリアで命を落とした。父は海軍兵として招集された。父は戦争のことを話したがらなかった。戦後、酒を飲むと暴れた。今、振り返ると「嫌なことがいっぱいあったんだろうなと思う。(父も自身も)戦争がなければもっと違う人生だったはず」。上原さんは子どものころからそう思っている。
妻と共に4人の子を育て上げた上原さんは年を重ねるごとに、子や孫の将来が不安になる。「軍事ではなく、自然と夢と希望を若者に与える政治をしてほしい」。そのために最も望むこととして「沖縄のどこにも軍事基地を置かないと国連で決議してほしい」と強調した。
集会のスピーチは冒頭だけでなく、最後も同じ言葉で締めくくった。「正直な花を咲かせましょう」
(照屋大哲)