「陸の上に引きずられた」 目取真俊さん、シュワブ拘束に怒り


この記事を書いた人 Avatar photo 与那嶺 明彦
拘束された時の状況をゲート前で語る目取真俊さん=4日午前9時すぎ、名護市辺野古の米軍キャンプ・シュワブゲート前

 名護市辺野古の米軍キャンプ・シュワブ内で約8時間にわたって身柄を拘束された芥川賞作家の目取真俊さん(55)が、本紙のインタビューに答えた。一問一答は次の通り。

 ―当時の状況は。
 「いつもカヌーで通っている場所だ。自分の後ろにいた人がフロート(浮具)の内側に入った時、軍の警備員が岩場から手を伸ばして彼の腕をつかんだ。そこで私が抗議してたら軍警が私の腕やライフジャケットをつかんで、海から陸の方に引きずられた」
 「軍警が『島袋さん、陸に上がっていますよね。刑特法違反です』と私の本名を言って、浜の所で待機することになった。この軍警は沖縄の人だった。『島袋さんなぜ教員を辞めたんですか』とか言うわけですよ。明らかに人物を特定した上で引きずられているんですよ」
 ―陸に上がったか。
 「カヌーで抗議をしていた。上陸する理由はないし、陸に上がったというのは全くの事実誤認だ」
 ―拘束された後は。
 「MP(憲兵隊)が来て、その場で所持品検査をして持ってるものを全て置いた。白いパトカーに乗せられて、建物に連れて行かれた。ウエットスーツを着たままだったので『寒いから着替えがしたい、弁護士と連絡を取りたい』と言うと、通訳の女性に『基地の中では弁護士と接見できない。名護署に引き渡すので名護署で接見してください』と言われた」
 ―名護署に連れて行かれる予定だったということか。
 「名護署の警察官もこちらの様子を確認しに来ていた。しかし、そのまま話をすることなく戻っていった。その後はずっとほったらかしで、いすに座らされて銃をホルダーに差した米兵とずっと向かい合っている状態だった」
 ―拘束時間が長かった。
 「山城博治さんが拘束された時は1~2時間で出てきているから、3時間以上たってこれは異常だと思った。通訳の女性に『着替えもできない。長時間拘束するのは人権問題だ』と伝えると、女性は『名護署に引き取ってほしいと言ってるが引き取ってくれない』と、困ってるような感じで愚痴をこぼしてるんですよ」
 「その後午後5時には建物から外に出ることになった。また手錠を掛けられて、車に乗る前に男性が『海上保安庁です』と名乗った。この時に初めて自分が名護署ではなくて海保に連れて行かれると分かった。どうしてこんなに長い時間がかかったかを尋ねると『上の方でもめてたみたいです』と言っていた。国と県が和解している状態で軍の警備員が捕まえたから、海上保安庁も名護署も戸惑ったのだろう。でたらめな逮捕だったということだ」
 ―今後の抗議行動は。
 「毅然(きぜん)とした態度で、今までと同じようにゲート前の皆さんと連携しながら活動していく」(聞き手 阪口彩子)