LRT 那覇で走るか 年度内に3案選定 次世代型路面電車


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 慢性的な交通渋滞を抱える那覇市は2015年度から、LRT(次世代型路面電車)の導入可能性についての調査に取り組んでいる。調査は2年間で、15年度は基礎的調査や広島県など先進地の事例収集を実施。16年度は今後設定する3ルート案について導入可能性を評価する予定で、採算性や導入効果の比較検討から可能性が“高い”と判断されれば、新たな交通機関実現に向けた計画が一歩前進することになりそうだ。

 市都市計画課の担当者によると事業は国の一括交付金を活用したもので、15年度約500万円、16年度は約1800万円を予算計上している。15年度は市域内の集客施設や人口動態などの基礎的調査、全国19事業者の導入事例収集や補助制度の整理などを進めた。
 09年度策定の「市交通基本計画」では、広域的な公共交通の機関軸を(1)那覇市―沖縄市間を南北に結ぶルート(2)那覇市・与那原町間を東西に結ぶルート―と位置付け、市内域の機関軸には「真和志地域と中心市街地、中心市街地と新都心を結ぶルート」を設定。16年度はこれらを踏まえたLRTの3ルート案の選定と導入可能性の評価を行うという。
 現段階では“市内”における導入可能性の調査にとどまるが、市内での導入が実現すれば、県が与那原町、西原町の中城湾港マリンタウン地区に整備する大型MICE施設と那覇空港などを結ぶ交通網として整備される可能性も出てくる。
 県は現在、新たな鉄軌道導入計画案の策定作業を進めており、鉄軌道から分かれる支線として各地を結ぶ「フィーダー交通」へのLRT導入を期待する声も県議会などで上がっている。しかし県は「(LRTなどは)本来地域が考えるべきもの」との立場だ。
 市の担当者は「定時定速のLRTは交通渋滞の緩和や、環境負荷の軽減にもつながる」と導入効果を強調。一方で導入には線路敷設のスペースが必要となることから、一般車両や既存のバスを排除することになるなど、解決しなければならない課題も山積している。