米軍嘉手納基地周辺の比謝川などから、国内で原則使用が禁止されている有機フッ素化合物(PFOS)が検出された問題で、沖縄防衛局が県企業局からのPFOS使用中止要求を米軍側に正確に伝えていなかったことが分かった。企業局は米軍との窓口である防衛局に対し「(PFOSを含む泡消火薬剤などを)直ちに使用中止」することを求めたが、防衛局は県の要請を英訳して伝えた上で、要請から1カ月後に米軍に別の文書で「可能な限りの使用抑制」と表現を弱めて要請していた。さらに防衛局が英訳した文書には英単語の誤用もあり、市民団体は「県企業局の懸念や要請が反映されていないことは問題だ。日本政府は仲介役としてマイナス方向の役割を果たしている」と指摘している。
環境問題の調査団体「インフォームド・パブリック・プロジェクト」の河村雅美代表が、赤嶺政賢衆院議員(共産)の協力を得て防衛局と米軍がやりとりした文書を入手し、検証した。
企業局は1月、沖縄防衛局にPFOS使用の即時中止を文書で要求。防衛局は「Immediately cease to use it(すぐに使用をやめる)」などと英訳して米側に伝えた。ただ防衛局が米軍に要請書を出したのは約1カ月後の2月22日で、同局の要請文書では(1)PFOS含有物質の漏出時の封じ込め(2)泡消火薬剤の使用の可能な限りの抑制(3)PFOSを含まない製品への早期の変換-を求めるにとどまった。
さらに県企業局を「Enterprise Bureau」と正しく訳さないなど、不適切な英訳もあった。