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W杯制覇「ブラジルに勝てた。何よりも喜び」 デフフットサル日本代表の宮城実来、歓喜の世界一を報告


W杯制覇「ブラジルに勝てた。何よりも喜び」 デフフットサル日本代表の宮城実来、歓喜の世界一を報告 デフフットサルW杯での優勝を笑顔で報告する宮城実来
この記事を書いた人 琉球新報社

 ブラジルで11月10~19日(日本時間)に開催された「第5回ろう者フットサル世界選手権大会(ワールドカップ2023)」に出場した、女子日本代表の宮城実来(22)=上山中―那覇西高―日体大出、エスクロー・エージェント・ジャパン=が21日、那覇市の琉球新報社を訪れ、優勝報告をした。

 「ブラジルに勝利できたことが何よりも大きな喜びだった」と大会を振り返った。強豪国を次々と破っての優勝に達成感をにじませた。輝く金メダルを手に「少し休んで、来年3月にトルコで開催される冬季デフリンピックに向けてモチベーションを上げていきたい」と次の目標を語った。

予選リーグ第1戦 日本ーイングランド ボールをキープし、周囲を見渡す宮城実来©JDFA
デフフットサルW杯での優勝を報告し、金メダルを手に笑顔を見せる宮城実来=21日、那覇市の琉球新報社(小川昌宏撮影)

 大会を通して宮城に与えられた役割は、後半の守備だった。我慢の時間帯が続く状況で投入され、粘り強い徹底マークで相手を封じた。印象に残っている試合に挙げたのが初戦のイングランド戦。3―0で勝利し、幸先良くスタートを切った。「ヨーロッパ王者を相手に最大限の力を出せた」と思いを込める。

 予選リーグ第4戦のアイルランド戦は終了間際に追いつかれ、1―1で引き分けた。勝利が目前だっただけに試合後はチーム内で互いへの不満が噴出した。宮城は「みんなで本音をぶつけ合った。いいたいことを全てさらけ出して、逆にすっきりした状態で最終戦に臨むことができた」と明かす。ブラジルに7―1で大勝し、決勝も同じ対戦カードとなった。

 決勝はアウェーの洗礼を受けた。「会場からのブーイングが地鳴りのように伝わってきた。雰囲気にのまれそうだった」と緊迫した雰囲気の中で戦った。延長へもつれ、1点リードされたまま逃げ切られそうになったが終了直前に同点、PK勝利で優勝を手にした。

 8年間ほぼ同じ代表メンバーでW杯に照準を定め、集大成として挑んで最高の結果へと結実させた。宮城は「ドーピング検査もあるので食事や薬の処方箋などさまざまな制限を受け、細かく気を遣いながら体調管理をしてきた。やりきった感がある」と完全燃焼の思いを語る。今後は2025年に東京で開催される「デフリンピック」を見据え、11人制フィールド競技のサッカーで出場を目指す。

(大城三太)