台湾2・28事件「事実解明を」 遺族が思い語る 浦添でシンポ


この記事を書いた人 Avatar photo 与那嶺 明彦
台湾政府による賠償認定について報告する(左から)青山恵昭さんと賠償認定を申請する予定の徳田ハツ子さん、具志堅美智恵さん、大長直利さん=27日、浦添市のてだこホール

 「シンポジウム台湾228事件in沖縄」が27日、浦添市のてだこホール市民交流室で開かれた。台湾の国民党政権が多数の住民を殺害した1947年の「2・28事件」の犠牲者で県出身の青山恵先さんの長男の恵昭さんが台湾政府からことし2月、賠償認定を受けた経緯や思いを報告し、研究者も交えて意見を交わした。夏にも賠償請求を申請する予定の県出身犠牲者の遺族3人も登壇し、思いを語った。

 青山さんは台湾政府が賠償に応じたことを「良心を感じた」と評価し「事実の解明は戦争と平和を考えることにつながる」と述べ、今後も事実解明を求めていくとした。事件の犠牲者とされる仲嵩実さんの長女・徳田ハツ子さん、大長元忠さんの次男・大長直利さん、石底加禰さんの三女・具志堅美智恵さんは夏をめどに賠償申請の準備を進めている。徳田さんは「私の世代で解決してほしい」と求めた。
 シンポジウムでは、又吉盛清沖縄大学客員教授、立命館大学専門研究員の高誠晩さん、台湾琉球協会の李明峻秘書長、沖縄タイムスの謝花直美編集委員が登壇して議論した。
 又吉さんは賠償について「国による個人補償は画期的」と評価し「戦後日本がきちんとした賠償をしていない中で台湾はきちんとやっていくことを示した。日本政府の対応が問われる」と指摘した。高さんは「青山さんが外国人として初めて賠償認定されることで事件が台湾国内だけでなく、東アジアのものになる。新しい展開だ」と評価した。