悩み、混乱乗り越え ダウン症通し家族で成長


社会
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座談会で子育てについて語る仲地和代さん(中央)と講師の石垣春美さん(右)=27日、那覇市保健所

 ダウン症の子どもがいる親を対象に「障害児(者)きょうだいの育ちと支援」をテーマにした講演会が27日、那覇市保健所で開かれた。講師の障害者就労支援センターちいろばの所長石垣春美さんが、障がいのある兄との経験を踏まえ、家族との向き合い方を語った。

 ダウン症親の会たんぽぽだん(仲地和代代表)が、会の十三祝いを記念して主催し、約20人が参加した。
 石垣さんは親が元気でいることが子どもの成長に欠かせないとし、障がいのある子を産んだ親が、ショックや混乱を乗り越え、再起する過程を説明した。その際に、周囲に助けを求めることが大切だと訴えた。
 障がいのあるきょうだいがいる子どもは、自分の感情を後回しにし、大人のように振る舞ったり内面の寂しさをうまく表現できずに家や学校でトラブルを起こしたりするなど、さまざまなタイプがいる。石垣さんは「子どもを抱き締めることで親の愛情を伝えられる」と語り、参加者らは真剣に耳を傾けた。
 「障がいのあるきょうだいは、家庭にとっても社会にとっても大切な存在だ」と強調した石垣さんは、きょうだいがいることで子どもが学べる体験があると訴えた。
 講演後に開かれた参加者との座談会では、涙を流しながら子育てへの不安を語る親の姿もあった。石垣さんは「子どもたちは親が思うより強く、自然に成長する」と励ました。
 2人の息子とダウン症の娘を育てる吉田あずささん(40)=那覇市=は、「将来子どもたちがどうなるのか不安があった。講演で、きょうだいは自然に自分の道を選んでいくと聞いて安心した」と語った。