OTV杯争奪相撲 秋元、山本が個人制す


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 相撲の第38回OTV杯が3日、那覇市の安謝新港ふ頭特設土俵で行われ、高校団体決勝で北部農林Aが、中部農林Aを2-1で破り、2連覇を果たした。同個人決勝は3年生の秋元康成(首里東)が大谷真惟(中部農林)を退け、高校初の頂点に立った。一般個人は山本浩太(沖縄市体協)が2連覇を飾った。中学団体は美里中が優勝し、同個人は田場尚幸(大宮中)が制した。

下手投げで優勝し、涙をこらえる首里東の秋元康成(右)=3日、那覇市の那覇新港ふ頭 (屋嘉部長将撮影)

◆個人高校V・秋元 監督と二人三脚の勝利
 個人高校決勝で首里東唯一の部員の秋元康成は優勝の瞬間、感極まって涙をこらえた。監督と二人三脚でつかんだ栄冠だった。先輩の卒業で部員が1人になった秋元。決勝の相手とは出稽古で勝ち負けを繰り返していた。
 緊張しやすいという秋元は「落ち着いてやろうと平常心を保って頑張った」が、下手投げで制した決勝について「覚えていない。優勝が決まって真っ白になった」と振り返る。力があるものの、いつも緊張し試合で発揮できなかった。秋元を支えた和宇慶忠勝監督は秋元の試合を「100点満点」とたたえた。
 昨年の総体で全治半年の右足首脱臼と靱帯(じんたい)損傷を負い手術した。監督が「もう終わりかなと思うけが」を秋元は諦めずに筋力トレーニングを続けた。部員が1人になった後も監督に叱られても怒鳴られても食らいついた。普段は秋元を褒めることがない監督も、「周囲の応援、期待に応えて男になった。良くやったと褒めたい」と目頭を熱くした。
 朝練前に監督が体育教官室で朝食を作り、朝練後に食べる日々が続き、入学時から30キロ増量した。体づくりの次は「メンタル強化」が課題だ。優勝から気持ちを切り替えて「脇を締め」月末の県総体に狙いを定めた。(崎原有希)

うわてなげで山城将吾を破り優勝した山本浩太

◆教え子優勝で火 一般の部優勝・山本
 一般の部は沖縄に帰ってきて2回目の出場の山本浩太(沖縄市体協)が連覇した。同大会の出場試合は小学3年から負けなしだ。土俵に上がり、意地を見せた。決勝は相手に先に攻め込まれて体勢を作られたが、左前みつをつかんで右を差し込み、上手投げで決めた。
 昨年から中部農林高で小学生から高校生までを指導し、ことし4月からは美里中の外部コーチも務める。練習する時間がなかなか確保できずにいたが、美里中が団体優勝したことで「自分も負けられない」と火が付いた。
 教え子の応援を受け「勝てて良かった」と胸をなで下ろす。今後も子どもたちの指導を通して、沖縄の相撲と自身の成長を誓った。

あびせたおしで大城英寿(伊江中)を破った田場尚幸(大宮中)(上)

◆理想の相撲追求 中学の部優勝・田場
 小学1年から相撲を始めた田場尚幸(大宮中)は3年ぶりの優勝となった。理想は「いなしてから突っ張りをして土俵の外に押し出す」相撲だが、決勝は小柄な相手を前に「失敗した」。
 決勝でも相手をいなしたが、中に入ってきて理想の相撲ができなかった。相手は軽量級で押しではなく技を掛けてくると判断。相手のタイミングに合わせてもたれ掛かり、浴びせ倒した。
 課題は「ゆっくり落ち着いて(不測の事態があった時に)とっさに次の行動に移ること」と言い、「もっと早く動けるようになりたい」と貪欲だ。「全国でも通用するようにしたい」と理想の相撲の追求を続ける。