鉄軌道ない沖縄 地元の意見は?


社会
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 県内の鉄軌道導入に向けた将来像などについて、県が今年1~2月に実施した県民意見参加(PI)で5974人から1万5613件が寄せられ、最も多かったのは早期整備を求める意見で777件あった。交通渋滞の解消や、北部や南部の往来が活発になるなどの期待の声も多かった。「国頭、本部、糸満、与那原などへのルート延伸」「各圏域の環状ルートや全市町村経由ルート」などを求める意見もあった。

 県はこれらの県民意見などを踏まえ技術検討委員会、計画検討委員会などを開き、四つのルート案に絞り込んだ。これに対する代替案も含めて県は16日から、改めて全戸に資料を配布して県民から意見収集する。
 ルート案の検討については「他県は国の予算で国鉄など鉄道インフラが整備されているため、国が整備すべきだ」「北部から整備してほしい」「中南部から整備してほしい」「安価で導入しやすい、乗り降りしやすい次世代型路面電車(LRT)の導入を求める」などの意見も出た。
 これらの意見への対応で県は「骨格軸は専用軌道を有するシステム(小型鉄道やモノレール、LRT)が想定される。(基幹線から分かれる支線の)フィーダー交通は主にバスになると考えるが、効率的でない地域はバス高速輸送システム(BRT)やLRTが想定される」とまとめている。
 公共交通を巡っては「駅周辺に駐車場、駐輪場などを整備してほしい」「持続可能性の観点から赤字運営とならないよう採算性を考慮してほしい」などの意見が上がった。これに対し県は、県外の地方圏で利用者の減少による赤字路線廃止があることを踏まえ、新たな視点として「持続可能性の観点から採算性(利用促進を含む)を考慮した持続可能な公共交通」を対策案に盛り込んだ。
 このほか「導入に伴う影響などデメリットも含めて検討してほしい」「高齢者など交通弱者の行動範囲が広がる」「北部や南部へ往来の活発化など圏域間の連携強化」「定時制の確保」「早期渋滞の解消」「安価でリーズナブルな運賃」などの期待も寄せられた。
 県は今回のPIで(1)検討プロセスに関する意見(2)将来の姿の具体的イメージに関する意見(3)公共交通の求められる役割・取り組みに関する意見(4)ルート等対策案検討に関する意見(5)評価の視点に関する意見(6)その他意見―の6項目について聞いた。