解体・建設中のビルを覆い騒音を低減する工事用シート、防護服、コンテナハウスに県内酒造メーカーのノベルティグッズ。これら幅広い製品を企画・販売しているのは浦添市の琉球ブリッジ(谷中田洋樹社長)だ。
創業は2005年。海外の工場と連携し、商品企画から製造・物流・販売・商品配送まで一貫して行うことで、社員6人の小さな会社ながら事業の幅を広げてきた。この数年は労働環境の改善やIT化で、生産性も上がっているが、谷中田社長は「成長の限界」を感じていた。
「こんなのがあったらいい」に応え、次々に商品を生み出してきたのが会社成長の最大の要因。これまではどちらかというと、谷中田社長がそれを引っ張ってきた。「不確実性の時代にトップ1人の判断を頼りにするのでは難しい」。トップダウン型の組織から「全員経営」の組織への転換を図るため着手したのが、人材育成だった。
県産業振興公社が実施する人材育成事業「リデプロ」を活用。外部の専門家を招き、全社員がマーケティングと組織マネジメントを基礎から学んだ。
伊禮翔哉営業部長は「売り上げに対する全員の考え方をそろえることができた。意識が変わったので、行動も変わってきた」と振り返る。入社3年目の玉城亮さんは「これまでは商品を届けて終わりだったのが、お客さまの要望を聞き、提案ができるようになった」と話す。
また、学んだ知識を業務の中で実践しながら、PDCA(計画→実施→検証→改善)を回したことで、取引先情報の社内共有の必要性を痛感し、直近3期分の取引先のデータを企業カルテとしてまとめた。
これにより、担当者の偏りが明らかに。担当企業を割り振り直し、業務を平準化。さらに各企業の分析も行い、その企業にあった提案ができるようになった。同時に社内業務を洗い出して整理。情報を共有しリソースの有効活用につなげ、業務改善を行った。これも外部の専門家が伴走した。伊禮部長は「教育、データ整理・活用は自社だけではこんなに短期間ではできなかった」と感謝する。
マーケティングの知識をつけ、数字に基づく判断ができるようになったことで、「稼ぐ力」も向上した。売り上げは前年度比20%増。単月では倍となっている月もあるが、社員の勤務時間は変わらない。
「社内の会話がレベルアップした」と谷中田社長。「考える人間は多いほど、いいアイデアが出る。強い組織に一歩近づいた」と力を込めた。
リデプロとは
自社の経営状況の分析と課題の抽出を行い、企業の利益を出みだすためのBusiness(経営・事業・組織の仕組み)をRedesign(見直し・再設計)し、実践する研修プログラム。自社の課題解決に向けた人材育成計画書を経営者が作成し、その計画に合わせて専門家を選定し研修の内容をカスタマイズすることができる。
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