大宜味村喜如嘉に新しくできた古本屋さんがあります。雰囲気の良い場所で、ユニークな取り組みもいろいろとやっているみたい。どんなお店か調べてくれませんか?
(名護市 バーバーヤダマ)
自然が近くてのどかな喜如嘉集落。本を手に取る場所として、理想的な環境ではないでしょうか。
少し調べてみると、お店の名前は「山ブックス」であることがわかりました。旧喜如嘉小学校の校舎を利用し、工芸店やサウナなども入居する複合施設「喜如嘉翔学校」にあります。店主の崎山朴(さきやま・すなお)さんに連絡を取り、お店に向かうことにしました。
開業のきっかけ
那覇から約2時間車を走らせた調査員。喜如嘉翔の校門を抜け、廊下を歩き、小学生に戻ったような気持ちで山ブックスにたどり着きました。お店のスペースはもともと用具室だったそう。算数の授業や運動会で使う備品が入っていた頑丈な棚に、古本が並べられています。
「学校に入れるワクワク感も大事にしています」
崎山さんが笑顔で教えてくれました。1992年生まれの崎山さんがお店をオープンしたのは昨年10月。きっかけは、前職の大宜味村観光協会で携わった2つの仕事でした。一つは、旧津波小学校の校舎内に残されていた本を一般向けに配布したイベント。廃棄予定の本を救う意味合いがありました。もう一つは、地域のクラフト作家などを集めた「芸術縁日」というイベント。運営するだけでなく、自分も何か作りたい、と思い立った崎山さんは『やん話(ば)る』と名付けられた小冊子を、編集し発行しました。
いずれのイベントも多くの人から反響があり、「本を求めてやんばるに人が来るんだ」という実感を得たそう。そこで開業を決心したんですね。古書店開業時のノウハウは、沖縄市にある「波止場書房」のオーナー・花城美和子さんから多くを教わったそうです。
「共同書店」できます
お店のユニークな特徴の一つに「共同書店」というものがあります。これは店内の書棚の1スペースを月額2980円でレンタルできる仕組み。レンタルした人は「棚主」と呼ばれ、読み終わった本やおすすめの本を販売できます。本棚の名前、本の値段も自由につけることができ、売り上げも棚主のものです。
すでにレンタルされているスペースをのぞいてみましたが、どれも個性豊か。眺めていると「この棚主さんはどんな人だろう?」と楽しく想像してしまいます。草網みや芭蕉布で作ったしおりを販売している棚主もいるようです。「本が売れた棚主さんには、売り上げを報告するんですけど『やったー!』とよろこびの声が返ってきます」と崎山さん。
共同書店の仕組みがあると、さまざまな人がお店に関わることができます。遠く離れた場所からでも、やんばるのお店に愛着を持ってもらえるようです。
「おもしろい本屋だなぁ、と思ってもらえるイベントを定期的にやっていきたいです」
最後に崎山さんが意気込みを伝えてくれました。今後も本を中心にしたアイデアで、お店の魅力を増やしたいそうです。ぜひ一度足を運んでみてください。
共同書店の棚主もまだまだ募集中です。
山ブックス
大宜味村喜如嘉2083(喜如嘉翔学校)
営業時間:11時~18時
定休日:火・水曜
メール:yamabooks.okinawa@gmail.com
インスタグラム: @yama.books
※共同書店の申し込みはメール、またはInstagramのDMから
〈イベント情報〉
「本ともっとバザール」
古書とグルメ、雑貨の集まるイベントに山ブックスも出店します。
場所:プラザハウスショッピングセンター2F(沖縄市久保田3丁目1-12)
期間:2月10日(土)~12日(月)
時間:11時~16時
(2024年2月8日 週刊レキオ掲載)