芸能・文化

沖縄で「朝が楽しくなる食器」 創作・壺屋焼「guma guwa」

 「朝の時間が豊かなら、その日はきっとしあわせ―」。そんな言葉を添えたおしゃれなポスターが迎えてくれる。

 伝統ある重厚な壺屋焼とは少し趣の異なるかわいらしい焼き物が並ぶのは、壺屋やちむん通りの「guma guwa」(グマーグワー)の店舗。
 爽やかな青い色で菊文をあしらい、丸みを帯びた器たちが明るい店内で並んでいる。朝ご飯に使うことを想定した軽くて薄くて使いやすい食器だ。


商品を手に「天候や環境が毎日違う中で生まれた一つ」と語る高江洲若菜さん=那覇市壺屋のguma guwa

 「育陶園」は復帰前の1963年から壺屋の地で続いている。経営企画を担当する高江洲若菜さん(33)は、現代の名工の故高江洲育男さんの孫。若菜さんは店舗を統括する。「朝が楽しみになるような食器を作ろうと、以前からアイデアを温めてきた。2009年に店舗を立ち上げた」と説明する。
 「実は沖縄の土は薄い焼き物には向かない。でも『この形は無理』ではなく、技術を磨きながら試行錯誤し、慣れていけたらいい」とほほ笑む。
 guma guwaの商品を開発するまで1年ほどかかった。まずは会社の人が実際に器を使った。ご飯やチャンプルーを盛って食べ、どうやったら使いやすい器になるのか考えた。
 「guma guwaの商品は壺屋焼を全面にうたっていない。かわいらしい器が実は壺屋焼だと後で気付いてもらえたらうれしい。入り口になる器が作れたらいい」と語る。

 同じ壺屋内にある工房では、ろくろを回す人、焼き加減を見る人、絵付けをする人と約20人が役割を分担して働いている。
 土を練る機械の音が響き、窯の熱気を感じる中、12年以上働く砂川良美さん(33)は「削り」の作業をしていた。
 育陶園の工房では、(1)ろくろで形成する(2)乾燥する(3)透明釉(ゆう)をかける(4)削る(5)化粧をする(6)素焼きで焼く(約800度)(7)透明釉をかける(8)絵付けする(9)本焼きで焼く(約1200度)―と多くの過程を経る。
 削りが終わると「もっちり」しているという化粧土をムラが出ないようによく混ぜ、すっぽり器を沈めて土を掛けた後、土を素早く水平に切って乾かした。表情は真剣そのもの。


ろくろでさまざまな器の形を作る。使うのは壺屋陶器事業協同組合から購入する土のみ

長石を混ぜた化粧土を削った器にかける

丁寧に一筆一筆絵柄を付けていく

 砂川さんは「工房では土に合わせて作業が決まる。晴れている日は土がすぐ乾くし、焼きの状態も変わる。季候でどんどん変化する」と説明する。
 だからこそ出来上がった器は一つ一つ違う表情を見せ、味わい深いまたとない商品が生まれている。
文 清水柚里
写真 屋嘉部長将


明るい店内に並ぶ商品。一つ一つ表情が異なる

<道具箱>技法豊かな壺屋焼
 壺屋焼は1682年、琉球王府の政策で窯場を造ったことから始まった。琉球併合や世界恐慌、沖縄戦など歴史とともに歩んできた。現在は14の窯元が作陶を続け、壺屋やちむん通りの一帯に35の販売店が軒を連ねる。
 壺屋焼の赤土は、本島中北部4カ所で採掘した土などを混ぜて作る。その赤土に白化粧をした後、もみ殻や粘土、金属を合わせて作った釉薬(ゆうやく)をかける。
 他に類を見ないほど技法が多いと言われ、筆で釉薬を塗る「絵付け」や線で模様を描く「線彫り」、表面を削り模様を引き立たせる「掻(か)き落とし」など多様な技術が駆使されている。