ラスト彩る満開のユリ 伊江でアート映画撮影


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メガホンを取る山城知佳子監督(左)と砂川敦志、鈴木余位両助監督=1日、伊江村のリリーフィールド公園

 【伊江】8月11日から愛知県で開催される現代アートの祭典「あいちトリエンナーレ2016」(同実行委員会主催)に招待を受けた那覇市出身の映像作家山城知佳子さん(40)が、現代美術国際展部門に出品する作品作りに取り組んでいる。メインのロケ地として伊江島、韓国・済州島で撮影。フィクションのショートムービー「土の人」を創り上げる。

 「土の人」は鳥が運んで来た種を一時的記憶喪失に陥った土の人が受け取り、その種の声を聞いて記憶を取り戻していく物語。土の中に潜り込むと、東アジアの各国で同じ境遇の人と出会い、さまざまな交流を通して自分がやるべきことを思い出し、自分を取り戻すという不思議なストーリー展開だ。

 1日、伊江島のリリーフィールド公園で、覚醒した土の人を歓喜する拍手と満開のユリでエンディングを迎えるラストシーンの撮影が行われた。エキストラ役に地元住民や県立芸術大学音楽学部の講師ら約30人が出演した。

 脚本・監督を手掛ける山城さんは「伊江島と済州島は歴史的にもロケーション的にも似たところがあり、デジャビュ(既視感)を覚えた。撮影をしながら現地の人と出会い、歴史を知り、島を振り返り、制作のイメージが重なり出来上がる。完成するまで伝えたい思いを模索する」と話した。

 作品は3面スクリーンを設置するマルチスクリーン方式で上映する。それぞれ異なるシーンの映像を並列させ、同時に映し出される映像に取り囲まれる空間芸術を体感する。
(中川廣江通信員)