米軍属死体遺棄事件について、県内では20日、事件を強く非難し、抗議の意思を示す動きが広がった。市民団体は嘉手納基地前で抗議行動を展開し、緊急に開かれた抗議会見では女性らが涙ながらに事件を厳しく指弾した。被害者の命と尊厳を守ることができなかった悔いが事件への怒りと共に重く全県に広がっている。繰り返されてきた米軍関係者による事件の再発を許した日米両政府への対応にも反発が強まっている。
北谷町の嘉手納基地第1ゲート前で開かれた抗議集会の参加者は、全員による黙とうで亡くなった島袋さんの冥福を祈り、基地に向かっては怒りの拳を突き上げた。
「基地・軍隊を許さない行動する女たちの会」など16の市民団体が合同で県庁で会見し、沖縄からの全基地・軍隊の撤去を日米両政府に求めた。
訪米後に台湾の総統就任式に出席していた翁長雄志知事は20日夜、帰国した那覇空港で会見し「非人間的な事件が発生したことは、基地と隣り合わせの生活を余儀なくされている県民に大きな衝撃を与え、新たな不安を招くもので、断じて許されるものではない」と非難した。
また「(これまでも)再発防止などを強く要請してきたが、またもや事件が起きたのは激しい怒りを禁じ得ない」と述べた。
石垣市議会は別議案の審議のため開会が予定されていた20日の臨時会に抗議決議を急きょ提案し、全会一致で可決したほか、多くの市町村議会が決議に向けた調整を開始した。閉会中の県議会も事態の深刻さを重く見て、23日に米軍基地関係特別委員会を開くことを決めた。決議と意見書の本会議上程を審議し、決定する見通し。26日にも開かれる臨時会で採決する。
県内政党は相次いで外務・防衛両省の出先に抗議に赴き、事件への強い抗議のほか、再発防止策の明示、日米地位協定の抜本改定を促した。
市町村長らからも政治的な立場の違いを超えて一様に厳しい発言が相次いだ。県市長会会長の古謝景春南城市長は「心が苦しく、怒り心頭だ」と述べた。
「基地の県内移設に反対する県民会議」は大規模な集会を25日に開くことを決めた。場所は今後決定する。