黒いチョウに込めた思い 悲しみと憤り…


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被害者追悼の思いを込めた黒いチョウについて説明する高里鈴代共同代表=22日、北中城村の米軍キャンプ瑞慶覧前

 「元米海兵隊兵士の事件被害者を追悼し、米軍の撤退を求める集会」では、マイクを使ったアピールやシュプレヒコールなどは行われなかった。被害者を思い、主立った行動は取らないとの考えもあったが、集会を主催した基地・軍隊を許さない行動する女たちの会の高里鈴代共同代表は「本当に沈黙していていいのかと考え、このような形になった」と述べた。追悼と抗議という相反する気持ちの葛藤で生まれた集会は、参加者同士が悲しみと怒りを共有する場となった。

 集会では黒いチョウの絵が印刷されたプラカードと黒いリボンが配布された。沖縄ではチョウは亡くなった人の魂を表すことがあると主催者メンバーが聞き、被害女性の追悼の意味を込めて準備した。参加者は基地に向かってプラカードを掲げ、リボンは集会終了後にフェンスに結び付けた。
 集会終了後、高里共同代表は「いろんな思いを持った人が集まり、共に時間を過ごせたことに意義がある。叫びたいという人もいたが、司令部の前で集会を開いたことで、抗議の意味は示せた」と話し、沈黙の中でも意思が伝わったことを強調した。