「命守るため直接話したい」 翁長知事、オバマ大統領との面談求める


この記事を書いた人 Avatar photo 与那嶺 明彦
米軍属女性死体遺棄事件について安倍晋三首相(中央)、菅義偉官房長官(右)に抗議する翁長雄志知事=23日午前10時40分すぎ、首相官邸

 【東京】米軍属による女性死体遺棄事件を受け、沖縄県の翁長雄志知事は23日、安倍晋三首相と首相官邸で会談し「米軍基地があるが故の犯罪であり、大きな怒りと悲しみを禁じ得ない」と抗議し、米軍人・軍属による事件事故再発防止のため、日米地位協定の改定を強く要請した。同時に「県民の生命と財産、将来の子や孫の安心安全を守るため、ぜひともオバマ大統領と直接話をさせてほしい」と、26日に来日するオバマ米大統領と面談できるよう安倍首相に求めた。

 会談後、知事が内容を記者団に明らかにした。会談は約14分、報道公開された冒頭は双方とも発言はなかった。政府側から菅義偉官房長官も同席した。

 翁長知事は事件に関して「絶対許されない。綱紀粛正や徹底した再発防止などは、この数十年間何百回も聞かされた。しかし現状は全く何も変わらない」と効果的な再発防止策が講じられていないと日米両政府を批判。米軍人・軍属の特権を認めた日米地位協定について「米国から日本の独立は神話であると言われているようだ」と強い憤りを示し、実効的な再発防止のために地位協定改定の必要性を訴えた。

 安倍首相は再発防止やケネディ駐日米大使への抗議など事件後の政府対応を説明し、「身勝手で卑劣極まりない犯罪に非常に強い憤りを覚える。オバマ大統領に対して厳正な対処を求めたい」と述べた。伊勢志摩サミット時の日米首脳会談で自ら事件を取り上げる考えを示し、知事の面談要求には言及しなかった。

 菅氏は会談後の記者会見で、知事のオバマ大統領との面談要求に「安全保障、外交に係る問題は中央政府間で協議するというのは当然のことではないか」と実現に否定的な見解を示した。

 翁長知事は政府が面談要求に否定的な見解を示したことについて、航空機騒音規制措置など日米で決めた米軍の運用規則が守られていないことを例として挙げ、「もう心の中に押し込めることができないくらい(県民の怒りは)爆発状態だ」と指摘し、県がオバマ大統領に直談判する必要性を訴えた。
英文へ→In wake of murder, Governor Onaga requests meeting with President Obama