牧志、松尾、壺屋… 戦後の密集市街地を「再生」へ


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 那覇市はこのほど、幅員4メートル以上の道路整備促進や老朽建築物建て替えの誘導支援など施策を明示した「市密集住宅市街地再生方針」を策定した。戦後の急速な市街化で形成され、防災などで課題を抱える密集住宅市街地の再生が目的。本年度以降、方針に基づいた施策の具体化に向け、所管部局が市民や民間事業者の事業への誘導・支援を推進する。誰もが安全・安心で快適に暮らせる市街地再生に結び付けていく。

 主な密集住宅市街地は牧志や松尾、壺屋、樋川や隣接する真和志地区など。戦後の急激な人口流入や増加で都市基盤整備が追い付かないまま、急速に市街化が進んだため形成された。

 市は再生方針の対象地域を市内全域に設定。密集住宅市街地が多く含まれて優先的に再生が必要な地区を「再生重点地区」、同地区内で特に道路や面整備、まちづくり制度の検討が必要な地区を「面整備検討地区」と位置付け、地区の特性に応じた対策を講じる。

 再生重点地区は47町丁目(約717・6ヘクタール)。延焼・倒壊危険建物が60%以上で、幅員4メートル以上の道路に接しない木造住宅が50%以上あるなど道路避難・防災困難な地区。面整備検討地区は44街区(約67・9ヘクタール)で(1)無接道宅地が10棟以上連なり個別改善が困難(2)消防活動困難区域で早期整備の必要性が高い―のいずれかに該当する地区。

 市によると過去10年間の人口は、市全域の5・0%増に対し再生重点地区が7・6%減。一方で人口密度は市全域の1ヘクタール当たり80・5人に対し、再生重点地区は124・0人と高密になっている。道路も狭く木造住宅が多い上に「大規模敷地に複数の借地」という権利関係が障壁となり、防災面の改善や快適な住環境整備が進まない現状にある。

 再生方針は今後10年の指針で、市は「市民・事業者と行政の協働」を基本に据える。市建設企画課は「市としての方向性を市民に示し、手法を提案したもの」と説明し、住民らによる積極的な整備推進に期待を寄せた。