沖縄3行、投信を強化 収益多様化、手数料増図る


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 日銀が2月に導入したマイナス金利政策により貸出金利や住宅ローン金利など市中金利が軒並み低下する中、県内地銀が融資で収益を得る従来の手法に加え、投資信託や個人年金などで手数料を稼ぐ手法を拡大、収益源の多様化に向けた動きを加速させている。「沖縄は他県と違い、まだ潜在的な資金需要がある」(地銀幹部)とされ、各行とも利ざやの圧縮分を融資ボリュームの拡大で補おうとする一方で、投資信託の新商品を相次いで発売し、営業を強化するなどの戦略を展開する。

 琉球銀行は30日から国内の連続増配を達成している企業や欧州の株式、インド債券などを対象にした投資信託4銘柄の商品販売を開始。沖縄銀行は23日から国内外の株式や債券、不動産投資信託(REIT)など複数の異なった資産に分散投資する2銘柄とインターネット専用の4銘柄の取り扱いを始めた。沖縄海邦銀行も20日から、国内の連続増配企業や優良企業の中でも割安と判断される銘柄に投資する2銘柄の商品を販売している。

 「顧客のニーズに十分に応えきれていない」。投資信託を担当する地銀関係者は資産運用を巡る投資環境の現状をそう指摘する。マイナス金利の導入により、地銀3行を含めて国内の多くの金融機関が預金金利の引き下げに踏み切った。県内でも、預金者の利息収入が数億円単位で目減りしていることから「投資信託の機運が高まってきている」(地銀関係者)状況だ。

 投資環境の活性化はデフレ脱却を掲げる日銀や政府の思惑とも合致する。2015年12月時点の日米の家計(個人)金融資産を比較すると、日本は約5割が「現金・預金」と偏りがある半面、米国はわずか1割強にとどまる。一方、投資信託は日本が5・5%に対して、米国は約2倍の13%だ。また米国は日本と違い「株式」や「保険・年金・提携保証」などに均等に資産を分散運用する傾向が見てとれる。

 地銀関係者は「日銀が目指す2%の物価上昇目標を達成するには、日本の資本体系を変えるしかない。そのためには、リスクを十分に勘案しながら顧客のニーズに応えられる商品を提供するしかない」と指摘した。