名護市辺野古沖の新基地建設予定海域で海上警備を請け負うライジングサンセキュリティーサービス(東京)が、人件費を実際に払っている5倍以上で沖縄防衛局に請求している疑いがあることが分かった。市民が情報公開で得た資料によると、ライジング社が2014年度の警備業務を受注するに当たって沖縄防衛局に提出した見積もりで「海上警備要員」の日当は3万9千円~9万円とされている。だが実際に支払われているのは9千円~1万7500円だった。大幅の差額がそのまま会社の利益になっている可能性がある。
さらにライジング社が防衛局に提出した見積もりの単価を、沖縄防衛局がほぼそのまま予定価格の単価にしていることも分かった。
ライジング社の子会社、マリンセキュリティー社(沖縄市泡瀬)が求人誌に出していた求人情報などによると、業務の給与は日当で漁船を借り上げる警戒船勤務(午前8時~午後6時)が9千円。最も高額の警備艇の船長の勤務(午前8時~翌午前8時)で1万7500円となっている。
見積額と支払額の差は最高額同士で5・1倍、最低額同士でも4・3倍だった。
沖縄平和市民連絡会の北上田毅さんが得た資料によると、ライジング社の見積もりによる「海上警備要員」の単価と、防衛局がその見積もりを査定した表を比べるとまったく同じだった。全体を比べてもほぼ差はなく、見積もりがそのまま予定価格に反映された可能性が高い。沖縄防衛局はライジング社1社の見積もりを予定価格の参考にしたことを認めている。ライジング社の海上警備業務の落札額はいずれも99%以上となっている。
マリン社は「契約はライジング社のため詳細は答えかねる」とした上で「単価内訳についてはこちらでも確認したい」と話した。ライジング社は「担当不在」として返答はなかった。