政府は1日午後、自衛隊や海上保安庁の利用円滑化を前提に特定の空港や港湾を優先的に整備する事業で、整備対象の「特定利用空港・港湾」に沖縄県内の石垣港(石垣市)と那覇空港(那覇市)を位置付けたと発表した。県内2カ所を含め、施設管理者の同意を得られた全国5空港11港湾を選定した。有事を見据え、平時から民間インフラの利用を拡大しておく狙いがある。2022年末の国家安全保障戦略に掲げた事業で、「特定利用空港・港湾」の決定は初めて。
1日の関係閣僚会議で決定した。自衛隊や海保の円滑利用を確保するため、それぞれの空港・港湾の管理者と政府が「確認事項」を取り交わしている。石垣港は政府と管理者の市が、国管理の那覇空港は関係省庁間で確認した。防衛省や海保との連絡・調整体制を構築するとしており、特に緊急性と合理性が認められる場合には自衛隊や海保が「柔軟かつ迅速に施設を利用できるよう努める」ことを記している。
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政府は沖縄県内12カ所を指定候補に挙げ、昨年9月末から関係自治体に打診してきた。沖縄県は慎重な姿勢を崩しておらず、県が管理に関与する施設の指定は見送られた。管理者が前向きな意向を示し、費用対効果も高いと判断した石垣港と那覇空港を選定した。
石垣港は機能強化に向け、整備内容の検討を進める。自衛隊と共用の那覇空港では、2本の滑走路をつなぐ誘導路を増設する計画を念頭に調整している。
政府は当初、この事業に基づいて指定するインフラの呼称を「特定重要拠点空港・港湾」としていた。大規模な施設を設ける印象を避けるため、「拠点」という言葉を使わないよう「特定利用空港・港湾」に変えた。(明真南斗)